セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。
理学療法士として勤務をしながら、Instagramの投稿を開始して医療関係者の交流会を運営に至るまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか。
熊田さんのFilmを覗いてみましょう。
目次
熊田さんが理学療法士になろうと思ったきっかけを教えてください!
けがをして接骨院で身体の構造について説明を受けたのがきっかけです!
小学校4年生の頃からバスケットボールをおこなっていて、とてもけがが多かったんです。
当時通っていた接骨院でけがを我慢しながらなんとか運動できないかと質問したところ、いろいろと身体の構造について説明していただきました。
そのうち、身体の構造について学ぶのが楽しい、知るのが楽しいと感じるようになり、もっと人体について学びたいと思ったきっかけです。
人体について学べる環境を調べていると、理学療法士の専門学校を見つけたんです。それから元々通っていて認知していた柔道整復師と理学療法士の専門学校を見学しました。
そのとき、柔道整復師よりも理学療法士のほうが私の学びたい内容が学べると感じたので、理学療法士になる選択をしたんです。
実際に理学療法士時代はどうでしたか?
理学療法士の現実に直面し、知識を身につける必要性を感じました!
中学2年生のときに膝を手術して、実際に理学療法士の施術を受けた経験がありましたので、あまり現実とのギャップは感じませんでした。
ただし、学生時代に老人ホームでアルバイトをしていた際に、私たち理学療法士にできることは何だろうと考えさせられることが多かったです。
臨床1年目のときに、理学療法士としてはここまで治せるけど、ご本人さまやご家族がそれを望まないという状況を経験して、医学的な正論が必ずしもご本人さまやご家族にとっての正解ではないんだなと感じました。
さらに、患者さまのために医師の指示以上の施術を提供したくても制度上できない現実に直面し、理学療法士の限界を感じたこともあります。
医師の指示がなければ理学療法士としてのリハビリが提供できないとしたら、私たち理学療法士にできることは限られていると気づかされたんです。
その現実を受け入れたうえで、私にできることは知識を習得することだと感じ、より一層勉強するようになりました。
地域医療や地域で働く理学療法士の働き方についても調べた時期があります。
熊田さんがInstagramの投稿を開始した理由と現在の活動について教えてください!
機能解剖に詳しい師匠の影響でInstagramの投稿を始め、交流会も開催しています!
臨床3年目に外来勤務になり、エコーを使える機能解剖に詳しい技術知識系の師匠が転職して来られたんです。
当時の私は機能解剖は必要だと思っていたのですが、勉強の仕方が分からず、あまり知識が定着していない状態だったと思います。
そこで師匠から勧められて、機能解剖について学んだ内容をInstagramでアウトプットし始めたのがきっかけです。
学んだ知識をInstagramでアウトプットして人に伝えることで、私自身の頭を整理でき、知識が定着するようになりました。
ほかの方のために投稿していたわけではなかったですし、人に見られると思うと責任が重くて最初は鍵垢にしていたのですが、師匠から言われて鍵を外したんです。
週5日投稿していたら、いつのまにかフォロワー数が6,000人まで増えました。
フォロワー数が増えるにつれ、理学療法士の方だけでなく一般の方からも質問を受けるようになったんです。
それから「交流会をやってほしい」というお声をいただき、2023年の9〜10月くらいに第1回目を開催して、2023年の終わり頃に2回目を終えました。
交流会は年3回、4回ぐらい季節ごとや忘年会シーズンなどに開催したいと思っています。
交流会やInstagramでの情報発信など、理学療法士以外の活動で収益を得ていません。
好きなことを仕事にすると好きではなくなってしまうので、私は好きなことを仕事にしないと決めています。
熊田さんは今後どのように活動していく予定ですか?
地域コミュニティの核になるものを作り上げるために、事業も立ち上げたいです!
Instagramを通じて出会ったフォロワーさまに、医師が運営している図書館である『だいかい文庫』を教えてもらったんです。
それから、地域コミュニティの核となるものを作り上げたいと思うようになりました。
医療関係者が地域に出て、まちづくりをおこなっている方と共同して地域共生的な居場所づくりをするところに、私はとても魅力を感じています。
理学療法士の免許がなくても地域でできることはありますし、医療関係者だから思いつくようなこともあると思うんです。
以前、私が勤務していた地域が抱える問題の第3位は『孤独』で、第1位が『飲酒とタバコ』でした。
地域性はあるものの、今後高齢化が進むとさらに『孤独』が問題になるケースは増えてくると思います。
だいかい文庫のような社会的手法に関する本を読んで、鬱だった若者がインターンを通して社会復帰をしていく事例を見つけたんです。
高齢者だけでなく若者の助けにもなるんだと知り、より一層地域コミュニティの核となるものの必要性を痛感し、自分でつくりあげたいと考えるようになりました。
今後は、地域の方々の人生が前進するような関わりができる場所をつくりあげたいです。
その際、人とのつながりがとても大切になると思うので、地域に足を運んで暮らしてみて、地域の特性を理解したうえで進めていきたいです。
ただし、それを実現するためには費用がかかると思います。自分で会社を立ち上げて人の役に立てるような事業を展開しようと思っています。
THERA-FILを通して伝えたいことはありますか?
理学療法士にこだわらず、本当にやりたいことは何かを自分の心に問いかけてほしいです!
理学療法士の資格はあくまでも手段であって、目的にしないことが重要だと思います。
関わってくださった方の人生をより良くすることが目的で、それを達成するための手段として理学療法士の資格を使っていると私は捉えているんです。
もちろん私は、理学療法士という仕事が大好きで一生続けていきたいと思っています。
週に1~2回理学療法士として臨床で働きながら自分の会社を経営して、関わってくれた人の人生をより良くするためのきっかけをつくり、より多くの方に喜んでほしいです。
誰かの人生をより良くするための手段は、理学療法士だけではないと思うんです。
ですから皆さんも理学療法士にこだわらず、本当にやりたいのは何なのかを自分の心に問いかけてほしいなと思っています。
熊田 明日美(くまだ あすみ)
理学療法士の資格取得後、地域包括ケア病棟と外来勤務を経て整形外科クリニックへ転職。臨床での勤務を続けながら、Instagramの投稿を継続し、フォロワー6,000人のアカウントを作り上げる。Instagramを通して、医療関係者同士の交流会を開催し、今後は地域コミュニティの核になるものを作り上げることを目指して活動中。