セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。
理学療法士とピラティスインストラクターを両立するに至るまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか。
成瀬さんのFilmを覗いてみましょう。
目次
成瀬さんが理学療法士になろうと思ったきっかけを教えてください!
なかなか治らなかったけがを理学療法士に2週間で治してもらったことがきっかけです!
学生時代に日本拳法などの格闘技をやっており、頻繁にけがをしていました。
格闘技でけがをしたら接骨院に行くというイメージがあったので、当初は柔道整復師やマッサージ師の資格を取得したいと思っていたんです。
高校生のときに肩を痛めて、接骨院に通ってもなかなか治らず整形外科を受診して、そこで出会った理学療法士の先生のおかげで2週間ほどで治ったんです。
それをきっかけに、理学療法士に興味を持ちました。
当時の体育の先生に相談したところ、「理学療法士が一番幅広くいろんな方を見ることができるのではないか」と勧められ、理学療法士になることを決意しました。
理学療法士になるための勉強は大変でしたか?
勉強は苦労しましたが良くなった患者さまを見てやりがいを感じていました!
けがをして理学療法士を目指す前は自衛隊を志していたので、勉強よりも身体を動かすことに力を入れていました。
資格を取るために進学する前は漠然とマッサージを習ってそれを実践すると思っていて、勉強よりも身体を動かすことのほうが多いというイメージだったんです。
ですが初日に教授から、「マッサージは学びません。」と言われてしまい、びっくりしましたね(笑)
それから医学的な知識の勉強をする毎日となったのですが、生まれて初めて学ぶ分野の勉強で、勉強の仕方も分からずとても苦労したのを憶えています。
実習は寝る時間もなく大変でしたが、ここでドロップアウトするものかと根性で乗り切りました。
実習で実際に良くなった患者さまを見て、とてもやりがいがある仕事なんだなと感じましたね。
成瀬さんが生涯予防への関心が高まったきっかけはありますか?
けがで来院する患者さまに対して、もっと早く予防したいという想いが芽生えたのがきっかけでしたね!
資格取得後、理学療法士として地域の回復期病院に勤めていました。
回復期病院のときは患者さまへの介入だけでなく手術後の痛みが引くことで動けるようになる方が多く、時間とともに良くなったと感じていただけることが多かったんです。
しかし、整形外科クリニックに転職してからは慢性痛や変性疾患の患者さまがいらっしゃったので介入してもなかなか良くならない患者さまも多く、一から勉強し直さないといけないなと思いました。
勉強していくなかで、けがや身体の不調が起きる前に予防できると患者さまがスポーツや日常生活を精力的に取り組めるなという想いが出てきたんです。
何とかけがや身体の不調を予防したいと考えているうちに、生涯予防への関心が高まっていきました。
成瀬さんはどうしてピラティスを選んだのですか?
歩き方や姿勢などの人間の動きの根本となる部分にアプローチできると思ったからです!
身体の土台となる姿勢や歩き方の修正をしたいと思ったのがきっかけです。
私の臨床経験のなかでとても印象に残っているのが、野球肘を患った中学生の患者さまとの出会いです。
その患者さまは投球フォームが悪く肘を痛めてしまったというのが私の見解で、リハビリ計画書を説明する際に患者さま本人とお母さまにその見解を伝えたんです。
お母さまから「この子はこの投げ方でずっとやってきたんです。先生は野球経験があるんですか。」と言われましたよ。
私は野球経験がなかったんですが、身体に負担がかかる投げ方であることは分かっていたので、丁寧に原因やリハビリの進め方などを説明したつもりでした。
ただ、その患者さまはそれ以降いらっしゃらなかったんですよね・・・
スポーツをしている方のけが予防をしたいと思っていましたが、その出来事がきっかけでスポーツにおけるフォームや動き方の指導をするためには、各スポーツの知識が必要になると気づいたんです。
同時に私は格闘技以外のスポーツに関する知識が乏しかったので、選手と同じ土俵で指導することは難しそうだなと思って考えを改めました。
そこで、スポーツや格闘技などの応用動作の土台となる姿勢や歩き方などの基本動作を改善していこうと決めたんです。
当時から運動療法に非常に関心があったので、基本動作を獲得する手段としてピラティスを選びました。
現在はクリニックで理学療法士として勤務する傍ら、レンタルスペースを借りてFRPというローラーとマットを組み合わせたピラティスのグループレッスンをおこなっています。
今の活動で思い描いている成瀬さんのゴールを聞かせてください!
アスリートや格闘家のけがの予防に取り組んでいきたいと思っています!
けがをする前や身体の不調が出る前に、運動して予防していきたいというのが根本にあります。
格闘技での経験と理学療法士やピラティスインストラクターとしての知識を組み合わせて、アスリートの動きの土台となる姿勢や動作などを整えていきたいです。
そのうえでトレーニングやスキルアップにつなげてほしいと思っています。
活動のゴールとしては、最終的にピラティス1本で独立したいですね。
THERA-FILを通して伝えたいことはありますか?
正しい運動や動作を知ってけがの予防に努めてほしいです!
今元気な方々にとってはそれが普通なので、なかなか予防する気にはなれないと思います。
ただ、普通に日常生活を送れていることって奇跡のようなことだと理解してほしいんです。
けがを負ったり身体の不調が出たりしてからでは遅いので、予防のために今できることに取り組んでほしいです。
ですが予防のために運動をしても、その方法を間違えてしまうと逆にけがにつながってしまうので、そのサポートをしたいと思っています。
健康の重要性を失ってから気づくのでは遅いです。
身体の不調が出る前にできることにどんどん取り組んでほしいなと思います。
成瀬 亮祐(なるせ りょうすけ)
理学療法士の資格取得後、回復期病棟に勤務しその後整形外科クリニックへ転職。けがをしてクリニックに来院する患者さまに対して、もっと早く予防できていればという想いが強くなり、「生涯予防」への関心を持つ。FRP(ファンクショナルローラーピラティス)と出会い、現在はクリニックで勤務する傍ら、FRPグループレッスンの指導をおこなう。