セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。
学習塾講師から『発達支援ポピン』設立に至るまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか。
桑内さんのFilmを覗いてみましょう。
目次
桑内さんが言語聴覚士を目指したきっかけを教えてください!
学習塾で学習障害の生徒を担当し、発達障害に興味が湧いたからです!
小学生のときから、学校の先生に憧れていました。小学校でも中学校でも素晴らしい先生との出会いがあり、教員になりたくて大学に進学したんです。
大学では中学校・高校の英語教諭資格を取りましたが先生にはならず、学習塾の講師になりました。
就職した学習塾で7年間仕事をしているなかで、学習障害や発達障害のお子さまを担当することが度々ありました。
インターネットや書籍で調べながら手探りで授業を担当していたんですが、塾で私が発達障害を担当することが多くなり、どんどん発達障害に興味が湧いてきたんです。
勉強で困っている子どもたちの未来を考えたり、中学校や高校に進学するときに困ることを考えたり調べているうちに、言語聴覚士の資格を知りました。
早速、専門学校の見学に行き、説明を聞くなかでこれだという感覚があり、専門学校へ入学を決めました。
桑内さんが入学した言語聴覚士の学校のことを教えてください!
当時はクラスの半分以上が男性で、年齢層が高く驚きました!
言語聴覚士の仕事を知ったときに感覚的ではありますが、この仕事が私の一生の仕事になるという自信があったんです。
当時、私が入学した専門学校は、私のように社会人経験をした後入学された方も多く、年齢層は30歳前後で、男性が半数以上でした。
同級生とは今でも交流があり、勉強や実習は大変でしたが入学して良かったと思っています。
また言語聴覚士の仕事は、ほとんどが成人の方を対象としているので、小児方面に進みたい私は戸惑いましたが、どの勉強も今では現場で生きているなあと日々感じています。
言語聴覚士の現場について桑内さんの感想を聞かせてください!
子育てのブランクが経験となり、深みのあるアドバイスができると感じました!
初めての言語聴覚士の現場は、病院と療育センターの掛け持ちでした。結婚出産を経験しましたが、子育ての合間にも言語聴覚士のパートで小児施設で働いていたんです。
子育ても落ち着いてきて、パートではなくもっと働きたいと思い、時短ですが正社員として2024年の3月までは児童発達支援・放課後等デイサービスの施設で勤務しました。
ブランクに不安もありましたが、子育て中は母親・言語聴覚士の両方の視点から子どもの発達をみており、そのリアルな経験が保護者さまへのアドバイスに生かせています。
桑内さんの活動のきっかけを教えてください!
習い事感覚で療育をスタートできる場所をつくりたいと思ったんです!
現在の活動は、元々一緒に働いていた保育士の方との素敵な出会いがあったのがきっかけです。
小集団で3.4歳のお子さまを保育士の方と一緒に担当していました。遊びの提案や子どもたちへの関わりがとても上手な方で尊敬していました。
「一緒に事業を立ち上げよう!」とお話をいただいたとき、悩みましたがこの方とならという想いがあり、事業を始めることに決めました。
職場に不満はなかったのですが、一日に担当できる人数が限られてしまったり、そのため待機されているお子さまがたくさんいて。ことばの困り感を持ったまま1年~2年待たれている方が常にいるような状況でした。
病院に行っても順番待ちになり、なかなか療育を受けられない保護者の方々の気持ちを聞いていたので、習い事感覚ですぐに療育をスタートできる場所をつくりたいというのがきっかけです。
桑内さんの現在の活動について教えてください!
あえて身体を動かしながら言葉を促すということを意識した発達支援をおこなっています!
言葉の発達がゆっくりなお子さまのなかには、身体の使い方がまだよく分からなかったり、ちょっと不器用かなという方もいらっしゃいます。
座ること、じっとすることが苦痛だと感じるお子さまもいるので、教室内にある大型遊具(ボルダリングやブランコ、ジャングルジムなど)を使いながら身体の使い方も楽しみながら学ばれているんです。
身体と言葉はつながっています。遊びを通して身体の使い方を学び発語につなげていくという活動をしています。
子どもが遊びながら「もっとやってみたい!」「やったらできた!またやってみよう!」という自分からやりたいという気持ちを大事にしているんです。
桑内さんの活動に対する想いを教えてください!
すぐに相談できる、保護者支援にも力を入れた場所をつくりたいです!
お子さまが困っていることは、保護者も困っていることなんです。
言語聴覚士や先輩ママの視点から、今悩んでいることについて一緒に考えたい、対策があればお伝えし、少しでも子育てを楽しいと感じてほしいと思っています。
悩んでいたらすぐに相談できる保護者支援をおこなっていきたいです。
施設では、待機が発生してすぐにお悩みを聞けない現実がありました。
たとえば、1歳半健診で言葉の発達が気になると様子見になり、3歳まで誰にも相談できなかったというケースもありました。
救いきれていないお子さまのため、制度や決まりごとの間で、支援が届きにくい方がいるなら、私たちがやろうと思いました。
桑内さんの今後の展望について教えてください!
オンラインmini講座をおこなっていきたいです!
実店舗のお話をたくさんしましたが、個人の活動としてオンラインで発信をしており、Instagramで言葉やコミュニケーションについてお伝えしています。
また最近では、インスタライブや申し込み制のmini講座を開催しています。
今後は子育てに悩むママさんや経験の浅い言語聴覚士向けのmini講座を開催したいと考えています。
資料を見て講座を受けただけでは理解は難しいこともあります。小人数でディスカッションもしてみたいです。
THERA-FILを通して伝えたいことはありますか?
小児分野は楽しい!おもしろい!奥が深い!
小児分野は、奥が深いです。お子さまが好きだということはもちろん、ご両親のケアや寄り添う姿勢が常に必要です。
所属している園や学校との連携もあり、大変なこともありますがとてもやりがいを感じています。お子さまの可能性は無限大!そして、関わるなかで自分自身も楽しめると一番良いなと思っています。
小児分野に興味があったら、ぜひ勉強していただきたいです。
発達支援ポピンのインスタはコチラ
桑内 摩央(くわうち まお)
大学卒業後、学習塾にて勤務し、学習障害の生徒と接するなかで言語聴覚士に興味をもち資格を取得。自身も子育てを経験し、言葉や身体のことで悩む保護者の居場所をつくりたいという想いで『発達支援ポピン』を設立し、日々活動中。