セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。
理学療法士の資格を取得後、訪問看護ステーションの運営に至るまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか。
柳田さんのFilmを覗いてみましょう。
目次
柳田さんが理学療法士になろうと思ったきっかけを教えてください!
サッカーでのけががきっかけです!
高校2年生の頃、膝の靭帯を断裂してしまい、手術を受けました。
手術を受けた病院で2か月間リハビリを受けていたんですが、退院してからは通院しやすい近くの病院に転院することになったんです。
歩行時に恐怖感から患側に体重をかけられず、転院先の理学療法士の方から「リハビリを受けていたのに、何でこんなに筋力が落ちているの?」と言われたことを鮮明に覚えています。
筋力低下を指摘してくださった理学療法士の方が、根拠を示しながら丁寧に説明してくださったうえでリハビリをおこなってくださったおかげで、私も安心してリハビリを受けられたんです。
当時担当してくださった方に憧れたことや、人のためになる仕事がしたいと思っていたこともあり、理学療法士を目指すようになりました。
理学療法士として現場を経験した柳田さんの感想を教えてください!
頑張りが評価されないと思いましたね!
正直、頑張りに対する正当な評価が受けられないと感じたんです。私は病院に在籍している間、人一倍多くの患者さまをみて、学会発表もおこないました。
休日も勉強を頑張ってきたんですが、人事評価にも反映されず、同期とのお給料も変わりませんでした。
2年目の頃には、この現状はすぐに変わらないなと感じていました。
また、病院とは別に副業にも取り組んでいたので、病院に縛られない考え方が自然と身についていたんです。なので、あまり迷うこともなく訪問看護ステーションへと転職を決められました。
病院と訪問看護ステーションでは自分を取り囲む環境も大きく異なり、周囲からもさまざまな意見をいただくことも多く、非常に苦労しました。
病院にいらっしゃる患者さまは、けがや不調を改善するために通院もしくは入院されています。ですが、訪問看護の場合はさまざまな事情を抱えた方がいらっしゃり、訪問リハビリを利用する目的も異なります。
そこで、利用者さまの意見に耳を傾け、私が元気づけてリハビリに取り組んでもらうことを優先すべきだと気づいたんです。
柳田さんが訪問看護ステーションをはじめたきっかけを教えてください!
次のステップを考えていたことがきっかけです!
経験を重ねるなかで、転職先の訪問看護ステーションでの仕事に慣れが生じたり、歩合制でお給料をいただいており、お給料の上限がみえてしまったので、そろそろ環境を変えたいなと思うようになったんです。
何ができるだろうかと考え始め、次のステップとして訪問看護ステーションを自分で立ち上げることを決意しました。
柳田さんの経営する訪問看護ステーションはどのような職場ですか?
介護保険をよく理解している職場を目指しています!
現在は『いちご訪問看護リハビリステーション』という訪問看護ステーションを運営しています。
私の業務としては、自ら訪問に出向いて契約したり、リクルーティングをおこなったりしているんです。
事務作業は私1人ではなく、分担しておこなっています。介護保険や書類のことを理解していると、利用者さまや他職種の方に提案の仕方が大きく変わってくるんです。
書類が必要な意味や書類の内容も含めた施術の流れを理解し、利用者さまとの会話の内容が変わります。
私は、職員と経営者の立場を両方経験しそれを理解できたので、職員に事務処理を任せるときはなぜこの書類が必要かをしっかりと説明するようにしているんです。
柳田さんの訪問看護ステーションへの想いや今後の展望を教えてください!
楽しく真面目に働ける職場を目指しています!
楽しく真面目に働ける環境をつくることです。
以前、私が勤めていた職場は大きな組織になってしまったので、訪問看護ステーションの運営に直接必要のない書類がたくさんありました。
だからこそ私は、必要のない書類業務など窮屈さを感じさせない職場にしたいと思っています。当然、職員には十分なお給料をお支払いすることも必要だと考えているんです。
強みとしては、看護師とリハビリ職の情報共有の機会が多く、職員同士が良好な関係を築けている点ですね。
そういったことも私が促すのではなく、職員自ら率先してコミュニケーションを取りやすい環境を築いてきたことが要因だと考えています。
今後は訪問看護ステーションを増やしていくなかで、重症度の高い方を預かれる有料老人ホームをつくっていきたいんです。
訪問看護だけでは、1人の方に長時間寄り添いづらい場合があります。
そこで、訪問看護ステーションと併せて重症の方専門の老人ホームを運営することで、1人の利用者さまと長く寄り添える環境を目指そうと考えているんです。
THERA-FILを通して伝えたいことはありますか?
成せば成る、やればできる!
この業界は、やりたいことをおこなっていない方が多いです。私も自分のやりたいことを思いついてから実際に至るまで、数年かかりました。
皆さまは、理学療法士の資格を取れる時点でたくさん勉強もしていますし、賢いことは断言しても良いと思うんです。
ですので、大抵のことはなんでもできると思ってください。もし失敗してもほとんどのことは解決します。
自費診療に移行しようか、開業しようかなど、悩むよりすぐに実行してみるべきだと思います。
柳田 顕 (やなぎた ひかる)
理学療法士の資格を取得後、病院や訪問看護ステーションで勤務。仕事に対する価値観の違いから、自ら訪問看護ステーションを立ち上げることを決意。現在は”楽しく真面目に働ける職場づくり”をテーマに経営者として職員と日々向き合いながら活動中。