セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト（Therapist）を1つの記事（Film）として取り上げています。
病院勤務から宇検村の地域おこし協力隊として活動するまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか。
栄さんのFilmを覗いてみましょう。
目次
栄さんが言語聴覚士を目指したきっかけを教えてください！
コミュニケーションを通して人の役に立つ仕事がしたいと思ったからです！
小学校5〜6年生のときの進路学習の際に、将来のことについて考える機会があったんです。
教育や福祉などの仕事について、小学生の私にもどのような仕事をしているのかイメージしやすかったことや、何か人の役に立つ仕事に憧れていたので、小学校5年生のときにはすでにリハビリ関係の仕事をしてみたいと思っていました。
また、コミュニケーションを通して人の役に立つ仕事がしたいと思い、言語聴覚士を目指すことを決意し、高校生になってもその想いが揺らぐことはありませんでした。
栄さんが実習先や職場で感じたことを教えてください！
いずれは育ててもらった地元に・・・と考えていました！
実習で臨床現場をみることができ、自分が働く姿が想像できていました。資格取得後は、言語聴覚士として福岡の病院に就職しました。
病院で働いているときも言語聴覚士の仕事を辞めたいとは思いませんでしたが、いずれは育ててもらった地元に貢献できるようになりたいと考えていたんです。
その当時は福岡で仕事をしていたんですが、どこで仕事をするにしても内容は大きく変わらないと感じましたし、地元のほうが自分の関われる余地が大きいだろうと思いましたね。
栄さんが地元で活動しようと思ったきっかけを教えてください！
新型コロナウイルスの流行がきっかけです！
当初は、30歳頃に地元である鹿児島県奄美大島の宇検村に戻り、何か貢献できたらいいなとうっすら思っていたんです。
その一環として、地元の子どもたちを福岡に招き、世の中にはさまざまな仕事があることを知ってもらい、将来を決めるうえで選択肢を広げられるような機会を与えたいと考えていました。
そこで、交流会や職場体験などのイベントについて地元の行政に提案し、福岡在住の地元の有志と協力して開催しようと企画していたんですが、ちょうどその頃に新型コロナウイルスが流行し始めたんです。
それによって、イベントやほかにもやりたいと思っていたことができなくなってしまいました。
この状態がずっと続いたら、時間がどんどん過ぎてやりたいと思っていたこともできなくなるのではないかと不安でしたね・・・
2020年頃は外出を自粛する必要があり、やりたいこともできない窮屈な状態だったので、このまま残りの20代の生活を送るなら、必ずしも福岡に残って仕事をすることにこだわる必要はないと思ったんです。
そこで、思い切って早めに地元の宇検村に戻って活動しようと決めました。
宇検村には病院がないので、何をしていこうかと調べるなかで、『地域おこし協力隊制度』という存在を知りました。
この制度を活用すれば宇検村で自分のやりたい活動を通して貢献できると思い、約4年間勤めた病院を退職し、2021年2月に福岡から宇検村に戻ってすぐに地域おこし協力隊としての活動を始めたんです。
栄さんの現在の活動や今後の展望について詳しく教えてください！
子どもや高齢の方が集まれるような場所づくりをおこなっています！
最初の活動として、宇検村の方々が実際にどのようなことを考えて生活しているのか、話を聞くことから始めました。
そのなかで出てきたのが、子育てや教育、高齢者の孤立に対する悩みです。
子育てのサポートが少ないこと、習い事の選択肢や宇検村で子ども時代を過ごして良かったと思えるような体験が少ないこと、現役を引退して介護保険を受けるまでの高齢者の居場所が少ないことが悩みとして挙げられました。
そこで子育てに関するサポートとしては、親が仕事で家に居なくても子どもが集まれる場所をつくり、地域全体で見守ることができるような取り組みを始めています。
高齢者の孤立・居場所が少ないことについては、今の生活を続けられないのではないかと不安を抱えている方が多いことが分かりました。
不安を抱えている高齢の方々が元気で生活でき、地域の方々と交流できる場が必要ではないかと考えて動いている最中です。
また、我々の取り組みをNHKに『ローカルフレンズ鹿児島』という企画で取材していただき、放送のアーカイブがネットに公開されています。（2023年12月更新の奄美大島編［出演時間は3分57秒～6分31秒］）
また、オンラインショップもできましたのでぜひご覧ください。
今後は、その交流の場を高齢の方々が活躍できる場所に発展させることで、生きがいや雇用が生まれ、より生活を続けやすくなるようにしたいと考えています。
基本的に若手は私1人で活動していますが、私だけだと限界があるので、ボランティアで地元の方に協力をいただきながら活動中です。
今後は、若手も増やしてチームを組んで活動していきたいと考えています。現状として、本当に人手が足りず、チームだったらできるのになと思うことが非常に多いんです。
同じようなビジョンを持つ方がいれば、もっともっと宇検村を魅力的な場所にできると考えています。
栄さんが言語聴覚士としての資格やスキルを生かせていると感じる場面はありましたか？
小学校教育に参入していく際に、すごく権威性を感じました。医療職との信頼関係も築きやすかったです！
現在は未就学児を対象に、ひらがなの読み書き支援をおこなっているんですよ。その子たちが小学校に進学した後も、読み書きの習熟度を追跡して必要な支援をしています。
保育所から学校まで参入できるようになったのは、言語聴覚士の資格を取っていたおかげだと思います。
また、高齢の方々と関わる際にも言語聴覚士の資格が生かせています。
高齢の方々は疾患を持つ方が多いので、医師や看護師、福祉関係の方々とのコミュニケーションを取っていく必要があると思っています。
医師の指示や看護師からの話があったとき、生活のなかで注意点や病院でおこなっている運動などの専門的な話が出てきた場合にも対応できること。
そして、病院での勤務経験があることで信頼していただきやすいという点も、言語聴覚士の資格を生かせているなと感じますね。
言語聴覚士のスキルとして活用できているものは、コミュニケーションスキルです。地域のなかで起きる課題の大半は、コミュニケーションが原因だと思います。
私は、今まで病院で言葉を発して会話ができる方や失語症のように言葉を発しにくい方ともコミュニケーションを取ってきました。
相手の伝えたいことや考えていることを推測しながら、コミュニケーションを取っていたので、その経験を現在も生かせているなと。
活動に対する栄さんの想いや原動力となっているものを教えてください！
宇検村で生まれてよかったと思える場所にしたいという想いがあります！
私が生まれ育った場所ではあるんですが、ここで生まれて良かったと思う反面、もう少しこうなっていたら良かったと思う点もあります。
それが、将来の仕事に関することです。宇検村で生活するなかで、自分が目にするもの以外の仕事や実際の仕事内容が分からず、将来の選択肢の幅が狭くなりやすいというのが実情です。
また、せっかく宇検村で生まれたにも関わらず、地域の文化や自然について知ったり、体験したりする機会が少ないと思います。
そのような課題を大人になった私が改善することで、地元に戻りたい、この村に生まれてよかったなと思える場所にしたいです。
また、高齢の方が長く住み続けられる地域にしたいなとも思っています。
私の祖父母も宇検村に住んでいたんですが、病院や施設に移ったことで人とのつながりが減ってしまうような状況をみていたので、少し寂しいなと思ったんです。
それと同時に、もう少しだけ長く宇検村で生活できるようにするには何が必要だったのか。そのような想いを抱えながら現在も活動しています。
THERA-FILを通して伝えたいことはありますか？
宇検村に遊びに来てほしいです！
まずは、宇検村に遊びに来てもらいたいです。もし何か一緒にできることがあったらおもしろいなと思いますね。
また、この場を借りて少しお知らせさせていただきます。
この度宇検村では、『おばあ・おじいの「人生が輝く」職場づくり』というクラウドファンディング型ふるさと納税に挑戦します。
宇検村で生きがいを感じながら住み続けられる仕組みをつくりたいという想いで、このプロジェクトを進めて参りました。
寄付の有無にかかわらず、どなたでもプロジェクトに応援コメントを投稿できますので、温かいメッセージを書いていただけますと幸いです。
一緒にプロジェクトを盛り上げましょう。
もっと応援するよと思っていただけましたら、SNSでのシェアや周囲の方にも呼びかけていただけると嬉しいです。
栄 雄大（さかえ ゆうだい）
言語聴覚士の資格取得後、福岡県の病院で就職し、
その後病院を退職し、宇検村の地域おこし協力隊としての活動を始める。
現在は教育面や福祉面に関する活動を中心に宇検村のために日々活動中。