セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。
病院勤務から自費リハビリ施設の運営など複数の活動を行うまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか。
高柳さんのFilmを覗いてみましょう。
目次
高柳さんが理学療法士になろうと思ったきっかけを教えてください!
けがをした方や病気になった方を助ける仕事に、魅力を感じたからです!
高校生のときに、理学療法学科のある大学の説明会があったんです。
そのときの説明会の内容は、スポーツのことがメインだったんですが、理学療法士というけがした方や病気になった方を改善していく仕事があるということを知りました。
それがきっかけで、理学療法士っていいなあと思いました。最初は本当に浅い感じですね。
それから理学療法士の資格を取得できる大学はないかなと探していて、SNSで有名だった大学の入試がちょうど良い時期にあったので、受験して受かったのでそのまま進学しました。
入学してみてどうでしたか?
たくさんの経験ができましたね!
私のなかでは専門学校は考えていなくて。時間とお金がかかってもいいので、4年という時間で人との関わり方を学んだり、いろいろな経験をしたかったんです。
入学してからは、テニスのインストラクターやスノーボードショップ、飲食などたくさんバイトをしていました。
そのなかでたくさんの方々との関わりを経験をできたのが、臨床で患者さまとのコミュニケーションなど、割とスムーズにクリアできたんじゃないかなと思っています。
またバイトをたくさんしていたなかでも、成績は良くも悪くもなく中の中くらいだったんです。
赤点を取って落第するわけでもなく、良い塩梅のところでうまく乗り切っていましたね。
理学療法士として現場に出た高柳さんの感想を教えてください!
学生の頃の経験が生かせました!
学生の頃にたくさんの方とコミュニケーションをおこなっていたので、すごくやりやすかったですね。
やっぱり理学療法士も、知識や技術の前に人対人の職業なので、コミュニケーション能力が必要不可欠だと思います。
特にテニスのインストラクターは、自分のテニスの技術を伝えるだけではなく、声かけ一つで相手を楽しませて盛り上げる。
そして、モチベーションを引き出すことが大切という点で、理学療法士と共通していますし。
クラスも小学生からそれこそ50代60代の方のクラスまで担当していて、それぞれへの声掛けや関わり方は経験していたので、それを医療の現場に置き換えていましたね。
そういった点では、学生の頃の経験があってよかったなと思っています。
やはり年上の方との会話は、うまく言葉が出なかったり、変に考えてうまく話せなかったりすると思うんです。
ですが、私は比較的それに慣れていたので、スムーズな会話ができましたね。
話しやすいという雰囲気や印象を与えると信頼につながりやすいと思いますし、そういった点では信頼関係は築けていたと思います。
高柳さんが現在の活動に至るまでの経緯を教えてください!
自分のやるべきことを追って行ったら、形になりました!
理学療法士の資格取得後は、回復期の病院に5年半ほど勤めていました。
最初は勉強会への参加もそんなにしていなかったんですが、2年目になると後輩が入ってくるということもあり、頼れる先輩になれるよう同期と一緒に、積極的に勉強会に参加するようになりました。
それがきっかけで、元々興味があった脳卒中分野で専門性を磨くようになったんです。
また、学会発表などを4年目から始めて実績を積み、リハビリの技術研鑽も併せておこなっていました。
私自身の価値を高めるために日々過ごしていたんですが、徐々にもっと自分を高めてくれる環境に身を置きたいという想いが強くなったんです。
そのタイミングで、ニューロリハビリ研究所ストロークラボの金子社長から「うちで働いてみませんか?」とお声掛けいただきました。
自費リハビリの世界は、臨床と比べるとシビアだけどそのほうが成長できると思い、即答で「行きます!」と答え、6年目に転職しました。
自費リハに転職して、臨床に勤めていたときに自己研鑽していなかったら、まったく通用せずに終わっていただろうなと強く感じますね。
病院と違って高額なお金が直接的に発生し、その責任をダイレクトに背負います。
そして何より今日来た患者様が、次回も来てくださるとは限らない。それが自費リハなんです。
そんなシビアななかでも、100%ではないにしても結果につながっている部分もあったので、臨床での自己研鑽をおこなっていてよかったなと思いますね。
自費リハで記憶に強く残っていることがあって。ある患者さまへのアプローチが自分のなかではうまくいったと思っていて、その患者さまからもポジティブな感想をいただいていたんです。
ですが、その患者さまはそれから来ることはなかったんですよね。そういった経験もしましたね。
ただこれをどう乗り越えたかというと、数をこなすしかなかったんですよね。そのなかでも、こちら側が手応えを感じるよりも患者さまを主体的に考えないといけないなと痛感しましたね。
やっぱりセラピストは数値などを細かく分析して少しの差でも変化がわかりますが、患者さまは感覚的にわからない場合もあるので、動画に撮って一緒に見ながら共有して工夫しました。
軽くなった、動くようになったといった感覚の変化までを感じていただき、視覚的にも変化を認識していただくことを意識するようになりましたね。
自費リハの施設ではほぼ立ち上げの状態から所属し、現場での施術以外にYouTubeの動画編集や公開、医療法人に対しての講習会を任されていたんです。
その傍ら個人でアウトプットの一環として、インスタでの情報発信も開始しました。
徐々にフォロワーが増えてきて、外部の講演会の講師や、オンラインの活動対談などのお仕事を個人に振られることのほうが多くなっていったんですよ。
それによって個人にかかってくるリソースが多くなってきたのをきっかけに転職して2年半ほど経った頃に、個人事業おもに切り替え、自費リハの施設には業務委託という形で所属していたんです。
それから個人での仕事がある程度形になって、そろそろ店舗を持ってもいいんじゃないかということで、2023年の8月25日に『リハビリセンター ニューロプラスティー』を開院しました。
自分で事業をやりたいから始めたというよりは、自分のやるべきことをどんどん追って行った結果、環境がそれに順応していって店舗展開に至ったという言い方が正しいですね。
高柳さんの現在の事業について教えてください!
施術業務をメインに、講習会業務や情報発信、動画制作もおこなっています!
現在は、臨床と教育面の活動を中心に、動画制作やSNSでの情報発信をおこなっています。
現場では、ニューロセラピストとして退院後も身体機能を向上させたい方や、病気を発症して時間が経過したことで身体の動きが悪くなってきた方に向けて施術をおこなっています。
また施術業務終了後に、セラピストに向けた講習会も開催しているんです。
そのほかセラピスト教育に関することの一環として企業から依頼を受け、理学療法士教育に関する動画を制作し、納品するような仕事にも取り組んでいます。
個人でもスマホを使ってすべて私が動画制作をおこない、InstagramやTikTokなどのSNSを通した情報発信にも取り組んでいます。
SNSの動画を通して私のキャラクターや雰囲気、考え方、講習会の様子などを見て、実際に講習会に参加してくださる方も多くいらっしゃるんですよ。
活動に込められている高柳さんの想いについて教えてください!
仕事が楽しいと思える方が増えてほしいです!
臨床に関連したところでいうと、私は病院勤務時代から自己研鑽を始めてそれを継続してきました。
私が関わった脳卒中の患者さまがどんどん良くなるのを見ることができ、本当に嬉しかったんです。
そして身体が良くなった喜びを患者さまと共有し、お金では買えない報酬を得ることができて、仕事が本当に楽しいものになりました。
楽しさを感じるためには自己研鑽をし続けなければいけないので、苦しい部分も当然あります。
ただ苦しんだ先にある楽しさを知っているからこそ、知識、技術の向上に向けて自己研鑽を続けることができたんです。
教育に関しても、私の講習会で学んだことを受講生の方が現場で実践してくださるのがすごく嬉しいですね。
さらに「患者さまが喜んでくれました!」という報告をいただくこともあり、私も間接的にその患者さまを救えているのかなと思うことができ、やっていて良かったなと思います。
仕事を楽しいと感じる方を増やしたいという想いもありますが、さらに講習会を通して業界のレベルを底上げしたいという野望も持っています。
きっかけとして、作業療法士協会の会長とお会いした際に、現在の1年目から3年目の方はコロナ禍だったこともあり実習を経験せずに就職をしていることについて話しました。
また、対面での実技指導や勉強会に参加することができず、作業療法士として経験値が低いことが話題に挙がったんです。
それは仕方がない面もありますが、作業療法士協会もその課題に対する解決に向けて動けていなかったという話が出ました。
ただ協会が動けていなかったとしてもセラピスト自身の行動次第で、自己研鑽をすることはできるはずです。
その自己研鑽をしようと思えるきっかけにしてもらいたいという想いもあり、若い層が使うInstagramやTikTokなどのSNSを使って情報発信をしています。
投稿を見てくださったなかでも、数%でも多くの方に響くような言葉をかけることができて、その方々が実際に行動してくれたのなら嬉しいですね。
自己研鑽のために行動する方々が増えて、その輪がどんどん広がるとセラピスト業界のレベルがさらに向上していくと考えています。
高柳さんの今後の展望について教えてください!
もっとセラピストが活躍できるような環境を提供したいです!
一般的にセラピストは、お給料の水準が低いと言われることが多い傾向にあります。
だからこそ、私はもっと満足できるようなお給料をお渡しして、そのお金を勉強や自己研鑽に使っていただき、今よりさらに患者さまや社会のために活躍するセラピストを増やしたいと思っています。
ただ、私の自費の店舗で勤務するセラピストの方々には、病院や周りの企業よりも高いお給料で働いてもらいたいです。
患者さまが治る喜びや感謝されることもそうですが、やはり生きていくうえでお金も大切ですし、お給料を一定額もらえている方が仕事へのモチベーションを上げることにつながると思います。
ただ、自費の施設だけだと自身で売上を立てる必要があるので、ハードルが高くなりますし大人数を雇うことができるわけではありません。
今後は自費の施設だけでなく、訪問看護ステーションなどを創って就職先の選択肢を増やしていきたいですし、そのような事業を拡大していきたいなというのが今後の展望ですね。
もう一つあげると、仕事を楽しんでほしいですね。
自分が教育したセラピストや優秀な方たちが私の事業に参加し、自費リハの施設や訪問看護ステーションなどで働くことで、仕事を楽しみ自身の生活も充実させてほしいという想いがあります。
一定水準のお給料を支払っていくつもりですが、より上を目指したいと考える方がいるのであれば、リスクを取るタイミングが必ずありますし、それなしで大きな収入を得ることはできません。
その場合、私のもとから去っていくとしても、その方がやりたいことを応援したいです。
また起業する場合は、ビジネス的な知識や経験をもとに伝えることができるので、送り出したあとも一緒に関わっていけるといいなと考えていますね。
THERA-FILを通して伝えたいことはありますか?
とにかく向上心を持ってほしいです!
向上心を持って仕事をしてほしいということを一番伝えたいですね。
リハビリやヨガ、ピラティス、メディアなど、どの分野でも絶対に向上心を持って仕事をすることが大切だと思います。
私も理学療法士になる前は、お給料が担保されており安定して働けそうだと思っていましたし、自己研鑽が必要だとも考えていませんでした。
ただ、安定しているというだけでは仕事を続けることができないと思います。
向上心をもつことでさらに知識をつけて、技術を磨いていくうちに自分の能力が上がっていきます。
患者さまに対してより価値のあるものを提供できるようになり、その分の報酬を頂くことにつながります。
報酬だけでなく患者さまに感謝されたり喜んでもらえると、もっと自分を高めようと行動して能力も上がるという好循環が生まれ、次第に仕事が楽しくなると思うんです。
ただ、若いときはやるべきことに必死で仕事を楽しいと感じる方のほうが少ないと思います。
だからこそ私は、SNSを通して情報発信をすることで少しでも向上心を持って行動し、仕事を楽しいと思える方を増やしたいです。
私自身がそのような職場環境を創り、セラピストがより活躍できる社会を創りたいと思います。
高柳 将人(たかやなぎ まさと)
資格取得後、回復期病院に勤務。脳卒中分野の学会や勉強会に勢力的に参加。自分をさらに高めたいという思いから自費のリハビリ施設に転職。そこでSNSでの活動を開始。SNSを通した個人の仕事が増えてきた段階で2023年に自費リハビリ施設『 ニューロプラスティー』を開院。
現在は臨床業務だけでなく、講演会活動、SNSでの情報発信、
動画制作など幅広く活躍中。