セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。
病院勤務の傍ら「ことばの相談」支援、SNSの発信に至るまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか。
まっちゃさんのFilmを覗いてみましょう。
目次
まっちゃさんが言語聴覚士になろうと思ったきっかけを教えてください!
本で言語聴覚士を知ったことがきっかけです!
元々手話に興味があったので、将来は手話に関連した仕事に就きたいと考えていました。
高校1年生のときに、母が言語聴覚士のお仕事紹介本を買ってきてくれたんです。それまで言語聴覚士という仕事自体、全く知らなくて・・・
本を読んでみたところ、手話の仕事というわけではありませんでした。
しかし、初めて目にした職業だったことや言語などコミュニケーションに障害をお持ちの方をサポートするという点に魅力を感じました。
また、すごくやりがいがありそうな仕事だと感じたのもきっかけの一つです。
まっちゃさんの学生時代のエピソードを教えてください!
言語聴覚士になりたいという気持ちはずっと変わりませんでした!
学生の頃はそこまで成績が良いほうではなく、実習はどうにか「可」で終わることができたという感じでしたし、留年はありませんでしたが、再試験を何度か受けるような学生でした。
後回しにする癖があったので、幾度か指導を受けましたね。自分のやりたいことへの誘惑に負けてしまった部分があり、案の定国家試験に落ちて浪人してしまったんです。
自分の不甲斐なさや悔しさを感じましたね。奨学金を借りていましたし、なにより言語聴覚士になりたいという気持ちは変わらなかったので、再受験して合格することができました。
実際に言語聴覚士になってどうでしたか?
国家試験がゴールじゃないんだなと改めて思いました!
やはり人を相手にする職業なので、何事も思ったようにいかないというところはもちろんあったんです。
国家試験がゴールではなく、働きながら常に学び続けなければならない職種なんだなと感じました。
言語のリハビリは、擦り傷などのけがが治るように、視覚的にも分かりやすく治るような分野ではありません。
症状の程度によってご本人さまやご家族の方の想いに応えられないことも多かったんです。
ご家族の方から「どうしても口から食べさせたい」という訴えがあっても、それがどうしても難しいことを医師を交えて現実を突きつけなければならないこともありました。
そういった嚥下や発語など症状を抱えた方と、どう向き合い寄り添っていくかという難しさは今でも感じています。
ですが、患者さまやご家族の方から感謝の言葉をいただくこともあり、それがとても嬉しく私の生きがいです。
まっちゃさんの現在の活動について教えてください!
SNSを活用しながら病院や自治体の委託業務をおこなっています!
2019年から月に1回程度、自治体で子どもの発音や発達の評価をする『ことばの相談』という支援活動をおこなっています。
私の子どもの離乳食のことで、栄養士さんに相談したいことがあって市の保健センターに行ったことがあったんです。
その際に栄養士さんと仕事の話になって、「ちょうどことばの相談を委託できる言語聴覚士が足りないので関わってもらえないか」と依頼を受けたことがきっかけで始めました。
ただ、関わる頻度が少ないことからくる難しさもありました。
ご家族の方に失礼のないようにお子さまのことを伝えたり、介入の回数が少ないので宿題としておこなってもらったりなど試行錯誤しながらおこなっています。
もう一つは、SNSの発信です。
私が働いている病院は回復期で病床数が少なく、言語聴覚士の数も少ないんです。
産休の方や離職する方もいらっしゃったので、少ないときは言語聴覚士が私1人になってしまうこともあったんです。
そこで、ほかの病院や施設で言語聴覚士がどのように関わっているのかSNSで情報収集をしていました。
その後、私が産休・育休に入ったタイミングで情報発信もやってみようと思い、発信を始めたんです。
現在は仕事、育児の合間でコツコツ発信活動をしています。リハ職をはじめとした発信者の方々とのつながりもたくさんできたので、皆さまと交流しながらこれからも継続していきます。
今後の活動へのまっちゃさんの想いや展望はありますか?
小児に関わることでスキルアップを図りつつ、SNSの事業を拡大していきたいです!
小児に関わる言語聴覚士がまだまだ少ないので、これからもっと関わっていきたいです。
ただ、現状は月1回程度と頻度が少ないので、私の家族とも相談する必要はありますが、児童発達支援事業所のようなところに転職してスキルアップを図れたらなと思います。
SNSに関しても、今は無料で学生向けに発信しているんですが、言語聴覚士のフォロワーさまが悩んでいる学生に私を紹介してくれて、いろいろな方とつながることができています。
今後は、オンライン事業として拡大していきたいなと計画しているところです。
言語聴覚士の人材不足自体はすぐに解消とはいかないと思います。
より認知度を増やす目的としても介護事業などをおこなっている企業へ、オンライン形式で積極的にアプローチしていきたいと考えています。
THERA-FILを通して伝えたいことはありますか?
一人で悩まないでください!
たくさんの方の悩みを聞いていると、言語聴覚士になりたいけど自信が持てない、勉強のモチベーションが保てないという方が多いように感じます。
どうして言語聴覚士になりたかったのか、原点に立ち返ってもう一踏ん張りしてほしいなと思います。
そのとき、もし一人で悩んでいるのであれば、ぜひ私に相談していただきたいです。
将来像を思い描きながら、もし一人ではなく周りに人がいるのであれば、周囲の方に頼りながら乗り越えていってください。
まっちゃ
言語聴覚士の資格取得後、回復期病院に勤務。その後、自治体が運営する「ことばの相談」という支援に携わり、並行してSNSでの情報収集や発信を行う。産休・育休を経て、現在はSNSをオンライン事業へ昇華させるべく活動中。