セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。
資格取得から訪問看護での勤務、障がい者サポート活動に至るまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか。
中西さんのFilmを覗いてみましょう。
目次
松島さんが作業療法士になろうと思ったきっかけを教えてください!
目に見える障がいがある子どもたちを支えたいと思ったからです!
私は、先天性四肢欠損といわれる手足に特徴のある目に見える障がいがあります。
小学校では相撲、中学校ではバスケットボール、高校ではラグビーとたくさんのスポーツや人生経験を通してたくさんの方に支えられてきました。
そのなかで、僕のような目に見える障がいがある子どもたちや何らかの原因で日常生活を送りにくくなった方を支えたいと思ったのが大きなきっかけです。
元々、子どものことが大好きで、療育をしたいと考えていたので、作業療法士になろうと決意しました。
専門学校時代はコロナ禍ということもあり、臨床実習では2か月しか病院で勉強できませんでした。
国家試験は、普段の勉強が功を奏してストレートで無事に合格することができましたが・・・
作業療法士の現場について松島さんの感想を聞かせてください!
初めての現場で自分には向いていないと自己嫌悪に陥りました!
もっとあんなことがしたい、楽しく色んなことがしたいなど僕自身の力量がなく、うまくいかないことが多かったです。
初めての現場では、2年3か月働きました。そしてご縁があり、転職を決めたんです。
転職した理由は、地域で生活されている障がいを持った方に支援がしたいと思いましたし、先天性四肢欠損のサポートをより強くしたいと思ったからです。
もっと障がいのある私自身のことを知ってほしいと思いましたし、幅広く活動したいと考えていて。
その結果、現在の訪問看護ステーションにて訪問リハビリをおこないながら、想いを持った活動にも注力することになりました。
現在の訪問看護ステーションの代表の方が私のSNSで活動を知ってくれていたので、チャンスと思い、転職することに決めたんです。
たくさんの子どもと関われたり、地域に根ざした活動ができたりする訪問看護ステーションは非常に魅力的だと感じましたよ。
松島さんが現在の活動をおこない始めたきっかけについて教えてください!
障がいのある子どもたちの居場所があれば良いなと思ったからです!
私自身も先天性四肢欠損ということもあり、同じ境遇の子どもたちが活躍できるイベントや運動教室、悩みを相談できる場所があればと考えていました。
調べている内に『ハビリスジャパン』を知り、サポートスタッフとして参加させてもらったんです。
提供:一般社団法人ハビリスジャパン
関西、関東をzoomでつないでオンラインで相談をおこなったり、運動会を開催して直接接したりする機会が増えました。
私もパラテコンドーに携わっているので、指導をおこなったり、片手で弾けるスライドリコーダー、水泳教室など子どもたちと接したりするなかで、もっと活動したいと思うようになりました。
松島さんの現在の活動について教えてください!
『ハビリスジャパン』にて大阪でのイベントの運営やサポート、企画立案をおこなっています!
活動は、関東の医師やセラピストのメンバーが多数在籍して運営しており、私は大阪でのイベントの運営やサポート、企画立案などをお手伝いしています。
zoomで月に1回ほどお悩み相談教室も開いており、オンラインということで日本のどこからでも参加できるという利点を生かして、たくさんの方々に参加していただいているんです。
SNSで活動内容を発信しており、支援を必要としている子どもたちに情報がしっかり届くように日々活動しています。
提供:一般社団法人ハビリスジャパン
関西在住ですが、関東の方へも出張してパラテコンドー教室に参加をしたり、家族交流会もあったり、私の実体験などをお話させていただいてるんです。
実際に子供たちにお会いしていつも感じることは、この子たちの可能性は無限大でこの先が楽しみだなと感じます。
障がい者という当事者としてお話させていただくことは、私の強みにしている部分でもあります。
小学校から中学校に進学するときも、社会の目や通常級と特別支援級で進学を迷っている保護者の相談も多いので、寄り添ったアドバイスをすることができるんです。
松島さんの活動に対する想いを教えてください!
子どもたちの行動のきっかけになったり、保護者の心配ごとを緩和できたりしたら良いなと感じています!
四肢欠損の先輩として話させていただくことが、子どもたちが何か行動をするきっかけになったり、保護者の方の心配ごとを一つでも緩和できたりすればという想いで活動しています。
世の中ではインクルーシブと言われてはいますが、欠損だけでなく診断はついていないけど特性を持ったお子さまや、何かしらの診断が付いているお子さま、学校に行けない子どもたちの間ではまだまだ広まっていないと感じています。
支援を必要としている方に対して、私たちがアクションをおこない相手側からのリアクションをキャッチし、真摯に向き合いたいと考えています。
提供:一般社団法人ハビリスジャパン
また、訪問看護のリハビリ職として幅広く動くことも可能です。ですので、特性を持ったお子さまだけでなく、高齢者の方々や重度の障がいをもった方々にも全力で向き合うことをモットーにしています。
想いをもった行動がより良い関係をつくり、同じ想いをもった方が集まるからこそ良い活動ができると確信しています。
障がいがあるからあれこれできないという思考が壁になりがちです。なので、どんな壁を壊したら子どもたちが社会からの視線を感じることなく、もっと住みやすくなるのかを常に考えています。
カナダでは、ノーマライゼーションという考え方が浸透しており、日本では理解が少ないので素敵だなと思っているんです。
今パラリンピックがすごくおもしろくて、特に個性を表現するパラブレイキンは一度見学させてもらって感動しました。
松島さんの今後の展望について教えてください!
関西でイベントを開催して、もっと盛り上げたいと考えています!
スキー教室や水泳教室などの活動のほとんどが関東発信なんですが、関西でもイベントに参加したいと思っている子どもたちや、支援を必要としている子どもがたくさんいるんです。
交通費も必要でなかなか参加が難しいので、関西でも気軽に参加できるイベントを開催したいと考えてます。
現在勤めている職場は本当に素晴らしい職場で、発達障がいの支援や不登校支援、脳性麻痺や地域の高齢者、産後ケアまでと、小児から大人までこんなにも幅広く介入している訪問看護を聞いたことがありません。
もっと有名になるべき場所だと感じているので、私自身の知名度も上げて職場も有名にしたいと考えています。
最近では出先でたくさん名刺を配り、私の知名度と会社の知名度を上げる地道な活動をおこなっています。
THERA-FILを通して伝えたいことはありますか?
どんな障がいを持っていたとしても可能性はあるんです!
多くのことを実現するために、社会資源を使うのか、人に助けてもらうのか、またはご自身で何か工夫してやっていくのかなど選択肢はいろいろあるんです。
いつも子どもたちには「できないことを探すよりも、できることを増やしたほうが良いよ。」と話しています。
できないことを荒探しするよりもできることを増やしたほうが楽しいですし、それがどんな小さなことでも成長できる部分が多いと思います。
できないことをサポートするのが私たちリハビリ職や医師、家族などの支援者なんです。私も支えられてきた部分があるので、できないことは任せたって良いんです。
社会の壁という観点では、障がいに対する理解がもっと深くなれば良いなと思っています。
周囲の方々の想いと当事者の想いが異なっていることも多々あるんです。
社会の理解が深まることで社会の壁がなくなり、障がいのある方々が住みやすい環境をつくれれば良いなと思っています。
松島 大地(まつしま だいち)
作業療法士の資格取得後、医療型障がい児入所施設で勤務。自身が四肢欠損の当事者ということもあり、より密接に関われる訪問看護に転職。『ハビリスジャパン』でも精力的に活動しており、悩みの相談や障がい者支援など幅広くおこなっている。