セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。
個人でピラティスインストラクターとして活動するに至るまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか?
山下さんのFilmを覗いてみましょう。
目次
山下さんが理学療法士になろうと思ったきっかけを教えてください!
学生時代にけがをしまくったことが理由ですね!
私は中高と陸上をしていて、現役時代は、結構いろんなところをけがして、痛めていました。
なので、整形外科によく通っていたんですよ。
理学療法士という職との初めての出会いは、中学生のときでした。
たな障害という膝の炎症で手術をしたんですけど、1週間くらい入院して、初めて理学療法士によるリハビリを受けました。
率直にこんな仕事があるんだなと思いましたね。
それ以降も現役生活のなかで、リハビリを受けるごとにちょっとずつ理学療法士みたいな仕事っていいなあという憧れが芽生えてきたんです。
理学療法士に憧れが出てきていた高2の冬に、練習で腕の骨折をしてしまいました。
結構大きな骨折で、骨折による神経の麻痺で、全く手が動かず、装具をつけて生活をしていたんです。
思春期に、しかも大事な大会前にそんな大きなけがをしたら、やっぱり精神的なショックが大きくて、高校生活終わったと思いましたね。
部活はもちろん、利き手が使えないから授業の文字を必死に逆手で書いたり、ご飯を食べたり生活するのもままならなかったです。
ですが、その当時リハビリを担当してくださった理学療法士の先生が、楽しくリハビリをしてくださったんです。
けがと楽しく向き合うことを教えてくれて、精神的に参っていた自分にとっては、それがすごく支えになって、こういう仕事に就きたいなという想いが固まりました。
実際に理学療法士になってみての感想をお聞かせください!
天職だなと思ってやっていましたよ!
正直、学生時代の臨床実習ではコテンパンにやられて、向いてないなと思って、資格を取るのをやめようと思った時期もありました。
説得されてやめなかったんですが、今は学生時代にやめなくてよかったなと心から思っています。
学生時代ではきつい思いはしましたけど、理学療法士として現場に出ると、天職だなと。
ですが、楽しい時間ばかりではなかったです。
患者さまのことを思って、少しでもできることを考えるんですが、患者さまご本人が望んでいることとのギャップがあって、それを埋めることに悩んで苦しんだ時期もありましたね。
また、私の性格上常に刺激を求めてしまうタイプで。
さまざまな病院に転々としていたんですが、私の学生時代の同級生からたまたま誘われて、医療系の専門学校の教員になった時期もありました。
どういう準備をして学校ができていくのかということがすごく勉強になったので、やってみてよかったなと思います。
今思うと、ずっと現場で理学療法士として働いていましたが、いろんな経験ができたなと思います。
山下さんが現在の活動を始めたきっかけを教えてください!
ピラティスのインストラクターになったのは、36歳の時に頸椎ヘルニアになったことがきっかけですね!
実は元々知り合いの方にピラティスを勧められていたんですが、最初は興味があまりなかったので断っていたんです。
しかし私が36歳のとき、頚椎ヘルニアになってしまい、手の痺れもあり痛みもあって、仕事も2週間ほど休みました。
これまで患者さまの身体と向き合ってきましたが、自分の身体とも向き合わないといけない大切さを痛感しました。
そこでピラティスをやってみようと思いやってみると、それが結構面白かったんですよね。
それがピラティスとの出会いです。
理学療法士として、病気になってからの方々をずっと見てきましたが、その度に病気になる前に、もっと健康に向き合ってほしいなという想いがあったんです。
病気になってから治すのはすごく素晴らしいことだし、簡単なことではありません。
ですが、治療ではなくもっと手前の段階から予防ができるともっと素晴らしい。
そこでピラティスを応用してもっと多くの方に、日常から予防・メンテナンスを提供したいという想いが強くなり、ピラティスインストラクターとして独立しました。
山下さんの現在の活動にどんな想いが込められていますか?
健康に対して、受け身ではなく積極的になってくれる方をどんどん増やしたいと思っています!
まず日本人は健康に受け身なんですよね。
つまり、医療制度が整いすぎていて、病気やけがをしたら病院に行って薬を処方してもらって治してもらえるという風習のようなものがあります。
ただこれが海外だとそうはいかないんです。
高いお金を払わないといけないし、高い保険をかけないと当たり前に医療は受けられません。
日本は国民皆保険で、病気のときや事故にあったときの高額な医療費の負担を軽減してくれます。
当たり前に医療を受けられる制度が整っているからこそ、病気になって初めて病気と向き合う方が多く見られます。
病気になったり、けがをする前段階から健康と向き合ってもらえたら、もっと自分の身体を大切にできます。
それこそが、有意義な人生を送れることにつながると考えています。
ピラティスでなくてもいいんです。
若い方からお年を召した方まで、当たり前に身体を動かす習慣を作って、受け身ではなく積極的な健康つくりを手に入れる世の中になったらいいなと思っています。
私はそのための手段の一つとして、ピラティスを提供しています。
山下さんの今後についての目標を教えてください!
ピラティスのスタジオをつくりたいですね!
現在はフリーで活動していて、レンタルスタジオやジムでピラティスを教えています。
自分のスタジオを構えて、ここにくれば健康になれるという場所にしたいと考えています。
今ピラティスに通ってくださっている方は、ピラティスの良さや楽しさを感じて、継続してくださっています。
まだ日本では、ピラティスは火の点き始めで、まだまだやったことのある方は少ないと思うので、まずは、ピラティスの楽しさを伝えられるように活動したいです。
そして、「やってみたい」が「やったことある」に、「やったことある」がやってます」になる人を増やしていけたらと思います。
THERA-FILを通して伝えたいことはありますか?
狭く生きずに、色んなことにチャレンジしてほしいですね!
私は急性期、回復期、教員、訪問、デイサービス、ピラティスとやってきました。
今でこそピラティスをやっていますが、それまでは理学療法士しか知らなかったし、やってきませんでした。
もっと早くいろんなところに目を向けていれば、治療や知識の幅は早くから広がっていたと思います。
若い方は視野を広げて、医療に関係なくても自分が興味を持った分野はとことん調べたり取り組んだりしてほしいですね。
たとえ医療と関係なくても、知る・見る・聞く。そうやって見聞を広げることで、より自分自身の人生が豊かになるはずです。
自分で自分の視野を狭めずに、どんどん可能性を広げていってください。
私もできることをもっと増やして、多くの方を笑顔にしていきます。
一緒に頑張りましょう。
山下 裕司(やました ゆうじ)
資格を取得後、理学療法士として、10年間あらゆる分野の病院を経験後、新設された福祉リハビリ専門学校の教員として1年間活動。その後、臨床に復帰し、理学療法士として5年半勤務。現在は非常勤で、訪問リハビリとデイサービスに勤務しながら、個人でピラティスインストラクターとして活動中。