セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。
病院勤務の理学療法士からメディア運営、地域おこし協力隊など幅広く活躍するに至るまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか。
河村さんのFilmを覗いてみましょう。
目次
河村さんが理学療法士になろうと思ったきっかけを教えてください!
人生の最期まで寄り添える仕事だと気づいたからです!
私が初めて理学療法士という職業を知ったのは中学生の頃でした。当時はソフトテニス部に所属しており、部活でけがをしてスポーツクリニックに通院していたときに理学療法士の先生のリハビリを受けたんです。
また、自身のけがだけでなく難病を患っていた従姉妹がリハビリを受けていたことで、理学療法士の仕事を目にする機会がありました。
闘病中から最期まで作業療法士の先生は従姉妹のために尽くしてくださったんです。
そんな作業療法士の先生の姿を見て、身体の不調を改善するだけでなく、患者さまの人生の最期まで寄り添えることが素敵だなと感じ、私もそんな人になりたいと思い、スポーツをしていたということもあり、理学療法士を目指すことを決めました。
河村さんのリハノワでの活動について教えてください!
“ひとり人の元気を、みんなの元気に”をモットーに情報発信をおこなっています!
資格取得後は総合病院に勤務し、その病院を退職後は別の病院でICUの専任理学療法士として勤務していました。
臨床で働くなかで、退院した後のリハビリの目標設定が難しいと感じていたんです。入院中は自宅に帰るという明確な目標があるのでリハビリを頑張れるんですが、退院した後の目標設定は難しく、また患者さまのモチベーションを維持し、リハビリを継続してもらうことの難しさも感じました。
当時の私は、理学療法士以外にも興味を持ってさまざまなことに取り組んでいました。そのなかの一つで情報発信があったので、それを通してこの現状をどうにかしたいと考えていました。
私は情報発信を通して、退院してからもリハビリや運動を続けられるような方を増やしたい。病気や障害を抱える前の段階のより多くの方々に、情報という選択肢を届けたい。
Photo by ひろし
そんな想いから、2019年に『メディア・リハノワ』を立ち上げました。
リハビリの輪を繋げるWebメディアのリハノワは、リハビリ当事者や医療関係者に有益な情報を届けるために、以下の内容で発信をおこなっているんです。
- リハビリに励む方の生の声
- 素敵な取り組みをしている医療介護福祉施設・企業
- 輝いているスタッフ
“ひとりの元気を、みんなの元気に”をモットーに、読者の皆さまに情報という選択肢を届けるべく日本全国の現場に自ら足を運び、記事を書いています。
河村さんが地域おこし協力隊を始めようと思ったきっかけや内容を教えてください!
取材を通して訪れたある地域の方々との交流がきっかけです!
リハノワ以外の活動として、2022年の10月から広島県福山市で*地域おこし協力隊に着任し、『CoCoLoふくやま』として活動をおこなっています。
Photo by Takaya Yamamoto
リハノワでの取材がきっかけで福山市の鞆の浦を訪れることがあったんです。そこで取材をするなかで、あるセラピストの方とお話させていただく機会がありました。
その方は、20年以上前から人生の最期まで生まれ育った地域で暮らせる生活を提供したいという想いから福山市で介護施設を運営し、地域共生の街つくりを目指して取り組まれています。
私はその方をとても尊敬し、本当に素晴らしい活動をされていると感じたんです。活動に対する想いにも惹かれ、もっと深堀りするために鞆の浦に通うようになったんです。
独立して1年目の頃は、トータルで約1か月ほどは鞆の浦に滞在していましたね。
取材活動をするなかで地域の方々とも繋がりができて、「地域課題の解決や地域の活性化に向けたお仕事をやってみませんか?」という提案をしていただき、地域おこし協力隊としての活動を始めました。
現在は神奈川県横浜市と広島県福山市の2拠点生活を送っています。福山市に住民票を置き、月に2回現地に行って活動をおこなっているんです。
福山市の関係人口の創出と移住・定住支援をミッションに、福山市の発信や地域課題解決に資する取り組みをおこなっています。
*地域おこし協力隊とはおおむね1年以上3年以下の期間、地方自治体からの委嘱を受けて地域協力活動に従事するものを指します。
地域おこし協力隊推進要綱より抜粋
河村さんがほかにも取り組んでいることがあれば教えてください!
ベンチャーキャピタルのコミュニケーターとしても活動しています!
現在はヘルスケア領域に特化したベンチャーキャピタルで、コミュニケーターとしても活動しています。
その会社と出会ったのは、リハノワとして独立するきっかけとなった『Healthcare Venture Knot 2019』というイベントに参加したことでした。
メディア・リハノワを中心として動いていくなかで、私が東京に出たタイミングでお声がけをいただき、ご一緒させていただくことになりました。
Photo by ひろし
現在は、「ノットプログラム」というインパクト起業家を育成するアクセラレーションプログラムの運営をしたり、投資先とのコミュケーションをさせてもらったりしています。
THERA-FILを通して伝えたいことはありますか?
まずは目の前の方を笑顔にしてほしいです!
学生の方々に対しては、医療従事者や患者さまのリアルな現場や声を知ってほしいと思います。
リハノワに掲載している記事を通して、患者さまがどういう背景があり今の状況に至っているのか、どんな想いで生活しているのかを、実習に行った方も行っていない方も患者さまのイメージやリハビリがどういうものなのかを知ってもらいたいですね。
魅力的なリハビリ施設や企業、輝いている医療従事者の記事も載せているので、リハビリテーションに対する世界を広げてほしいなと思います。
セラピストに対しては、1年目の方は忙しくてバタバタしてると思うんですが、3年目以降になると臨床や仕事にも慣れてきて、違う病院で働く友人やほか職種や別の業界など、隣の芝が青く見えるような状況を抱えている方もいらっしゃると思うんですよね。
さまざまなことに挑戦してみるものの、自分の進む道が分からなくなるような時期も来るかもしれません。
そんなときは目の前の患者さまに対して、自分が今取り組まなければいけないことに集中することが大切だと思います。
自分が今何を一番に取り組まなければいけないのかを考え、目の前のことをしっかりできて初めて、見識を広げる段階に踏み出すことができると思います。
定期的に自己を振り返りながら、視座を高めて視野を広げるような活動に取り組み、前へ進んでいくときっとうまくいくんじゃないでしょうか。
目の前の方の笑顔をしっかり大切にしながら、活動の幅を広めてほしいなと思います。
やりたいことや挑戦したいことがある方は、すでにそれに先駆けて取り組んでいる方にSNSなどを通して、さまざまな方にアポを取って会うなど、ガンガン行動してみてもいいんじゃないかと思います。
河村 由実子(かわむら ゆみこ)
資格取得後、総合病院で勤務したのちICU専任理学療法士として活躍。
退院後のリハビリテーション継続に関する問題に取り組むために
『メディア リハノワ』を設立。現在はリハノワの運営を中心に、
取材を通して交流のあった地域の地域おこし協力隊への参加や
ベンチャーキャピタルのコミュニケーターなど幅広く活動中。