セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。
回復期病院から訪問通所リハを経て整体事業を始めるまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか。
藤原さんのFilmを覗いてみましょう。
目次
藤原さんが理学療法士になろうと思ったきっかけを教えてください!
交通事故にあったことがきっかけです!
私は小学生のときに、とても大きな事故に遭ったんです。
あまりの痛みで最初は意識もなくて、気づいたら病院のベッドで片足を吊られていました。左の股関節から足部まで全部折れていてボロボロでしたね。
小学生の頃はサッカーをやっていて、サッカー選手になるという夢を持っていたんですが、一転して叶わないものになってしまい、ショックが大きかったですね。
あとになって両親から聞いた話なんですが、担当医師から「足を切断することになるかもしれない」と言われ、とてもショックを受けていたそうです。
私は意識がなくて覚えていなかったんですけど・・・
事故に遭ったのが小学6年生の1月で2か月後には卒業式が控えていたんです。当時は車椅子で注目されるのが嫌で、歩いて卒業式に参加したいという強い想いがありました。
その想いでリハビリを頑張れたんですが、担当してくださったセラピストの方の影響で、理学療法士に少し興味を持ちました。
私はサッカー選手になる夢を諦めた後、次なる夢として地元の学校で教員として働きたかったんです。
地元の学校では働けそうになかったので、ほかの学校で教員として働くくらいなら目指す必要がないと思ったと同時に、けがをしたときの理学療法士が頭に浮かんで、理学療法士を目指しました。
実際に理学療法士になってみてどうでしたか?
現実を突きつけられましたが、自分の目指すべき姿を見つけることができました!
実習や就職で現場を経験して、自分が良い面ばかりしかみえていなかったことを痛感しました。実際の現場はこういうところなんだという現実を目の当たりにしたんです。
私が実習でお世話になった整形外科クリニックでは、5人の理学療法士が勤務していたんですが、通常出勤は3人ですべての業務をこなしていました。
そのため患者さまの数がとても多く、一人ひとりにあったリハビリというよりも淡々とタスクをこなしているかのような印象が強かったんです。
それと同時に私がけがをしたときに担当してくださったセラピストの方は、リハビリの内容や接し方を工夫してくださっていたと気づき、自分はとても恵まれていたんだと思ったんです。
私もそういうセラピストになろうと思いました。
実際に資格を取得し、初めて勤務したのは回復期の病院でした。学生のときの実習先だった病院でチームアプローチというものに触れる機会があったんです。
1人の患者さまに対して医療従事者がチームで関わることで、患者さまと一緒に目標に向かっていくことができ、改善も早いことに気づき、とてもいいアプローチだなと思いました。
チームアプローチではセラピストも早番や遅番があり、入浴の介助をおこなうことがありました。
決まった役割をただおこなうのではなく、チーム全体で患者さまのためになることはできる方がやればいいという方針は、私の考え方とすごくマッチしたんです。
私がいくらスキルを持っていても、患者さま自身がやらないと言ってしまったら身体を改善することもできません。
チームアプローチを経験して、リハビリは患者さま自らやりたいと思っていただけるかが重要だと気づき、私の理学療法士としての根幹の考え方が変わりました。
藤原さんが現在の事業を始めるきっかけはなんですか?
病気にならないことが一番だと気づいたからです!
病院勤務のとき、ただがむしゃらに自宅退院を目標にリハビリを考えて取り組んでいました。
しかし病院でしっかりと歩けるようになった方が、転倒して回復期に戻ってくるというケースが多々あったんです。
回復期から訪問や通所リハビリなどの生活期に異動してリハビリをおこなうようになり、自宅に帰るだけがゴールではないことに気がつきました。
患者さま一人ひとりのゴールがあり、そこに向かってやるべきことがあると再認識した瞬間でした。
ただリハビリをどれだけやっても、できないことがあることもわかっています。どうすれば身体の不調を起こさずに済むんだろうと考えました。
そこでやっぱり予防が大事じゃないかなというところに行きついたんです。
ここはさまざまな意見があるかもしれませんが、私としては病院での治療やリハビリを受ける必要がないならないほうがいいと思います。
介護保険に関しても介護度が下がると困るとおっしゃる方もいるんですけど、介護度が下がることは身体の状態が向上している証拠なのでむしろ良いことだと思っています。
病気にならずに病院での治療やリハビリを受けないようにすることが一番だと感じているので、予防に注力した事業を始めようと思いました。
藤原さんの現在の事業について教えてください!
訪問看護での勤務する傍ら整体事業に取り組んでいます!
現在は訪問看護で勤務する傍ら、休日などの空き時間を使ってレンタルスペースにて施術をおこなっています。
予約が入ったタイミングでレンタルスペースの枠を抑えて実施するようにしている形です。
体調が悪くなってから病院に行くことはできると思うんですけど、実際行かなくてもいいケースはたくさんあります。
肩が凝ったときに病院に行くかというと行かないですよね。肩凝りがあっても放置することが多いと思うんです。
そんなときに自分で解消する術を知っていたら最高ですよね。
整体を通して、そのような病院に行かなくても自分で治せるようなセルフケアを浸透させたいと思っています。
治療というのは身体の不調が出てしまってからおこなうものなので、できることも限られます。
予防の段階で止められれば、体調も悪くなりにくくなるはずです。
そのために自分の身体を知ることがすごく大事で、患者さまに今の自分の身体の状態を把握していただきながら、施術やセルフケアの指導をしていきたいです。
美容室で髪を切るような形で身体も月に1回メンテナンスするというようなサイクルができると元気な方が増えるはずなので、そうなると私も嬉しいですね。
その方によって運動も好き嫌いあると思いますし、合う合わないもあると思うんです。
セルフケアをお伝えする際にもこれならやれますということを伝えてもらい、それをしっかりおこなってもらうことを意識しています。
現在の私の目標は患者さまの健康寿命を伸ばすこと、そして私自身が家族との時間を増やすことです。
まずはWワークから独立して自分の店舗を持ちたいです。
そして、自分と同じ考え方や目標を持った方とお仕事がしたいと思っています。理学療法を今後も続けて、もっともっと理学療法の良さを広めていきたいと考えています。
THERA-FILを通して伝えたいことはありますか?
働き方の選択肢を増やしてほしいです!
私自身やっぱり治療というか改善するまでの過程が好きなんです。
良くなっていく過程や新しい目標を決めてそれに向かって取り組んでいくというのが元々好きなんですね。
だからこそ今の活動に至るわけなんですが、ほかのセラピストの方にもいろいろな視点で病院以外にも働ける道がたくさんあることを知ってほしいですね。
理学療法という強い武器を持っている。使い方次第で可能性は無限大に広がっていくことを多くの理学療法士の方に伝わればいいなと思います。
学生の方々にはこんな世界もあるんだということを知って、自分の世界を広げてほしいですね。
道はひとつじゃないし、いろいろな道があって最終的にどこかでつながっている可能性もあります。
応援してくれる方もいるはずなので、そういうつながりは大切にしていけるとより豊かな人生にできるのではないかと思います。
まだまだ未熟ですが、私のように1人で活動を始めたいと思っている理学療法士の力になりたいので、これから一緒に頑張りましょう。
藤原 力丸(ふじわら りきまる)
理学療法士の資格を取得後、回復期病院から通所、訪問リハビリステーションに勤務。現在は訪問看護ステーションで働く傍ら、レンタルサロンにて整体事業をおこなう。整体を通して身体や健康の大切さを伝えたいという想いを胸に活動中。