セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。
病院勤務から訪問理美容サービス事業をおこなうまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか。
間宮さんのFilmを覗いてみましょう。
目次
間宮さんが理学療法士になろうと思ったきっかけを教えてください!
高校時代のケガでリハビリを受けたことがきっかけです!
小学生から高校生まで野球部に所属していました。高校生のときにけがでリハビリを受け、自分だけ練習できない状況に、何をやってるんだろうとふがいなさを感じることがありました。
そのときの印象が強く、部活を引退して進路を検討したときにリハビリの経験を思い出したんです。
リハビリを受けたときに感じたマイナスの気持ちをプラスの経験に変えたいと思いました。スポーツリハに関わりたかったことから、スポーツトレーナーを目指して専門学校に入学しました。
当時はPT=スポーツリハの印象だったので、がむしゃらに飛び込んだ感覚でしたね。
在学中は、こんなことも勉強するのか・・・と抱いていたイメージとのギャップを感じることもありました。実習でもスポーツトレーナー分野を志望していたんですが、高齢者分野で実習をおこなうことになったんです。
そのときも、最初は違和感を感じました。しかし、時間をかけて高齢者の方と関わっていくなかで、私はこの分野に向いてると感じるようになったんです。それから理学療法士のイメージが大きく変わっていきました。
また、やりたい仕事とできる仕事があることに気づきました。流れに身を任せる考え方を持つこともできましたし、自分は何ができるのかを少しずつ考えていけるようになったんです。
その経験から、就職活動では私ができることに着目し、福祉分野を志望しました。
間宮さんが現在の事業に至るまでの経緯を教えてください!
理学療法士としてデイサービスに勤務しながら、理容師見習いを経て理容師として活動しています!
学校卒業後は、リハビリ病院に就職しました。就職後に病院系列のデイサービスが新設され、私の地元ということもあり、23歳のときに移動しました。福祉分野に興味もあったので、やってみたい気持ちが強かったです。
デイサービスでは多くの勉強をさせていただき、ターニングポイントになったと思っています。
それまではリハビリ職が主役の環境に属していたので、リハビリ職がメインではないデイサービスではギャップを感じました。当時の私は、歓迎される立場だと大きな勘違いをしていたんです。しかし、それが今の私につながる大きな気づきでしたね。
勤務するなかで、40代や50代の理学療法士の先輩が引退や転職する話をよく耳にしました。不思議で仕方なかったのですが、原因の多くは身体や精神面を壊してしまい、ほかの仕事を余儀なく選択しないといけないということだったんです。
このままだと私もそうなってしまうのではないか、若いうちに挑戦してみたいと思いました。当時25歳でしたが、息の長い選択肢を見つけたかったんです。
おじいちゃん理容師はいらっしゃることと、通信で資格が取れることから、理容師を目指すことに決めました。
2年間デイサービスで勤務後、パート勤務へ変わり、理容師見習いとして働き始めました。2年間の見習いを経て、理容室の仕事に集中したいと思い、転職先を理容室に絞りました。
転職した理容室では訪問サービスを提供しており、それに同行させてもらっていたんです。そのなかでPTの経験を生かすことができ、私に向いてる仕事だと思いました。
やりたい仕事とできる仕事がマッチした瞬間だったと思います。
音楽療法士という名称や活動を参考に、2023年に”理容療法士”として本格始動しました。
間宮さんは現在どんな事業を展開されていますか?
訪問理美容と理容療法士協会の啓発活動をおこなっています!
訪問理美容を中心に活動しています。ほかにも理容療法士協会を立ち上げ、広報やマネジメントの仕事を分担しながら啓発活動をおこなっており、この協会もこれから大きくしていきたいです。
理容師と医療福祉の業界は全然違い、専門用語や関わる方の性質も異なります。「理容室で理学療法士って何?」と聞かれることもあるんです。
実際に訪問するようになって車いす操作を知らない理容師が多いことや、トラブルやすぐ辞めてしまう方が多い現実を知りました。そのためか、衛生管理のような訪問理美容を見かけてしまうことも・・・
非常にびっくりしましたが、業界が異なるのでそれは当然ですよね。
ただ、そこにはその方のQOLという概念があります。つまり、“療法”。知らないことは当たり前でそれを理解したうえで、少しでも知識を深めてその現状を改善する必要があると思いました。
しかも、これはAIにはできない“人ならではの役割”で、元理学療法士だからこその気付きかもしれないならば、私が先陣をきってやるぞと。
理学療法士の経験を生かして、やりたいけど続かない理容師の方と訪問理美容を利用したい施設の架け橋になりたいと考えています。
実際にInstagramで理学療法士と理容師をテーマに発信すると、すぐに問い合わせをいただいたんです。需要があるんだと思います。
身なりを整えるとQOLが上がる方が多いなか、衛生管理のようなサービスを提供する現場もみてきました。ただ求められたことをおこなうだけでなく、QOLを高められる仕事を提供していきたいと思っています。その活動を先陣切って取り組んでいきたいです。
理容師や美容師の方にも、福祉の現場を少しでも良いので知っていただけると嬉しいですね。
間宮さんの仕事に対する想いや今後の展望を教えてください!
AIにできない仕事を提供し、どんどんキャリアを積んでいきたいです!
人ならではの温度のある仕事をしたいです。
今は自動化やAIが進出してきていますが、人にしかできない仕事があります。AIに「頑張ってください。」と言われてもなかなか頑張れませんが、人に言われるとより意味を持てると思うんです。
正直、衛生管理の訪問理美容はロボットにもできます。しかし、QOLの向上にアプローチできれば仕事はなくならないと思います。理容を用いて人間ならではの仕事をしたいですね。
まだ理容療法のキャリアが浅いので、今後はどんどんキャリアを積んでいきたいと思っています。まずは私が体現して、説明が不要で見れば分かってもらえる職業にしたいです。
いつか私についてきてくれる方がいれば、普及活動も始めていきたいです。訪問理美容は衛生管理ではないということを体現したいと考えています。
THERA-FILを通して伝えたいことはありますか?
スキルはほかの現場でも生かせます!
作業療法士と理学療法士のスキルを生かせるのは、医療現場だけではないことを知っておいてもらいたいです。私も現在違う現場にいますし、ほかの現場でも活動できるんです。
そのなかでもQOLに着目する仕事が今後も必要になってくると思います。ただのサービス提供はロボットにもできます。
療法という概念に境はないことを知っておいてほしいです。
間宮 文人(まみや ふみと)
理学療法士の資格取得後、病院やデイサービスに勤務。今後のキャリアを考え、理容師に関心をもつ。見習い理容師期間を経て、理容師の国家資格を取得。現在は理容師として訪問理美容サービスを提供し、『理容療法士』の啓発活動をおこなっている。