セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。
病院勤務からアンビリカヨガstudioの運営に至るまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか。
町田さんのFilmを覗いてみましょう。
目次
町田さんが理学療法士になろうと思ったきっかけを教えてください!
体育の授業で骨折しリハビリを受けたことがきっかけです!
幼い頃から、運動がとても苦手でした。
中学2年生のとき、体育の授業でおこなっていたハードル走で転倒してしまい、左の上腕骨を骨折したんです。
そのけがが、私の人生の第1のターニングポイントになりました。
骨折後のリハビリで、病院のリハビリテーション室に行き、そのとき初めて理学療法士と書かれた名札を目にしたんです。
リハビリを受ける前だったんですが、直感的に私はこの仕事に就くんだと確信しました。
それからは何の迷いもなく、ずっと理学療法士になることしか頭になかったです。担当の医師に、どうしたら理学療法士になることができるのかと聞いたこともありましたよ。
それほど理学療法士になるという決意が固かったんです。
運動はとても苦手でしたし、身体が資本になる理学療法士になることはとても心配されましたが、無事に理学療法科に進学し、国家試験をパスして理学療法士になりました。
町田さんがヨガと産後ケアに注目した理由を教えてください!
産後のお母さんの力になりたいと思ったからです!
私は理学療法士として22歳から大阪の病院で勤務し、35歳までの約13年間で整形外科や回復期病棟、訪問リハビリなどさまざまな分野を経験することができました。
プライベートでは双子の妊娠出産を経験し、産後に大きく体調を崩し身体もボロボロな状態だったときもありました。
私と同じように産後のお母さんは、妊娠期間中の姿勢や出産後の抱っこの方法、ホルモンバランスなどの影響で身体の不調を抱える方が大勢いらっしゃいます。
そんなとき、産婦人科では対応できない場合が多いので整形外科にいらっしゃるんですが、小さなお子さまを一緒に連れてくるのが難しいんです。
そこで私は、整形外科病院で勤務していた頃、診療時間の合間で産後のお母さまを対象としたパーソナルトレーニングをおこなっていました。
ただ医師や病院の方針に沿わなかったことや、私の想いや考えを否定されるようなことを言われたこともあり、継続することができなくなってしまったんです。
私はどうしても諦めきれず、病院を辞めて自分で起業しようと決意しました。
当時は自費リハビリも今ほど普及しておらず、ピラティスやバランスボール、ヨガなどあらゆる方法から運動が苦手な私でも指導できるものを探していたんです。
当時住んでいた町にヨガスタジオがあり、そこの先生がとても魅力的な方でその先生のもとでヨガを学び、ヨガインストラクターの資格を2016年の12月に取得しました。
2017年の1月には自宅ヨガサロン『mamaroma』を立ち上げ、同年の11月に会社を設立。2018年の3月にアンビリカヨガstudioをオープンしたんです。
小さな規模から始めた自宅ヨガサロンでしたが、多くの産後のお母さんにお越しいただき、これからの社会にもとてもニーズが高いと確信しました。
自宅サロンからヨガスタジオに規模を広げた後は、ヨガ講座を本格的にスタートさせるなど会社としてさまざまな事業に取り組んできました。
町田さんは現在どのような活動に取り組んでいるんですか?
『アンビリカヨガstudio』の運営とPTOT向けヨガ講座を開催しているんです!
現在はインストラクター全員が理学療法士や作業療法士である 『アンビリカヨガstudio』を運営しています。
2020年の2月に商標登録した『アンビリカヨガ®』とは、ヨガ哲学と西洋医学を統合させ、エクササイズ×セラピー×自己管理として取り入れやすくしたものです。
理学療法士や作業療法士が提供する、プレリハビリ/ポストリハビリとしてのヨガ。決まった形があるわけではなく、概念として捉えていただければ分かりやすいかと思います。
私たち理学療法士や作業療法士の強みは、人の身体と心を評価できること。疾患の有無に関わらず、医療の知識があるからこそ医療の枠を超えて、病気になる前段階でのケアをおこなうことができる。そう考えています。
スタジオレッスンでは、ヨガ初心者でも取り組めるものから難易度が少し高いもの、産後ヨガや腸活ヨガなど豊富なレッスンが揃っています。
特に産後ケアについてですが、現行の保険制度では産後腰痛を含めた産後トラブルに対応できるところは少ないと思います。
妊娠期はお腹が大きくなることで、腰椎が前弯し胸椎も後弯します。そのような姿勢不良をその後も放置することで、加齢に伴う脊柱・肩関節などの不調につながってしまうのは当然なんです。
だからこそ、産後の最もケアが必要なタイミングで身体を整えることは不調の予防にもつながると考えています。
医療×ヨガの活動を通して予防医療、産後ケア、未病ケアへの取り組みをおこない、そして理学療法士や作業療法士には自分らしく活動できるきっかけをつくりたい。
そんな想いから、理学療法士や作業療法士に向けたアンビリカヨガ®の講座を運営しています。
現時点で、アンビリカヨガ®の講座卒業生は約350名、インストラクターとして地域で活動をされている方は約30名います。
弊社の公式サイトには、卒業生の医療×ヨガの活動を掲載していますので、ぜひご覧ください。
町田さんの活動に対する想いを教えてください!
自分の健康や幸せを追求してほしいという想いがあります!
基本的に私は苦手なことをあえて行う必要はなく、得意なことを伸ばしていく方が効率的だと思っています。
自分がが苦手なことは、それができる方の力を借りれば良いと思います。
苦手なことにわざわざ挑戦して、全て平均点を目指す必要はありません。自分が得意なことに特化して取り組んだほうが、自分らしさが磨かれるのではないかと考えています。
また私はヨガインストラクターではありますが、ヨガだけがすべてではないとよくお客さまやスタッフ、卒業生にお伝えしているんです。
大切なことは、自分にとっての健康の形や幸せの形を見つけること。これは自分にしか分からないものだから。そのツールの一つが、ヨガなんです。
そのため、スタジオではさまざまなアイテムを揃えています。ハーブやヘナ、機能性繊維や世界各地のスーパーフードなど。また、リトリートツアーをおこなったりもしています。
町田さんの今後の展望について教えてください!
もっとセラピストの価値を高められるような活動をしていきたいです!
理学療法士や作業療法士などのセラピストは勉強熱心で優しい方が多く、その反面、自他境界のバランスを崩して自分を犠牲にしてつらい状況に陥っている方も多いと思います。
そんなセラピストの価値をもっと高められるような活動をしていきたいです。
その一環として、新しい事業を立ち上げようと構想しています。短時間のリハビリ特化型デイサービスやヨガに特化したデイサービス、訪問看護ステーション、訪問リハビリの運営などをおこなっていきたいと考えているんです。
そのような事業を通して、セラピストには希望を抱きながら前向きな気持ちで働けるような環境を築きたいと思っています。
THERA-FILを通して伝えたいことはありますか?
セラピストの働き方について、一人ひとりが積極的に考えましょう!
セラピストもダイバーシティの時代だと思うので、セラピスト自身が「セラピストが活動しやすい社会」をつくっていく必要があると思うんです。
理学療法士、作業療法士などのセラピストが多くなってきたなかで、セラピストの価値を自らが下げる発言をする方もいらっしゃいます。
そうではなく、もっとセラピストにとって有益な働き方がある社会をつくっていかなければいけません。
自費リハビリをはじめ、これまでよりも多様性のある働き方があることを認め合うことも大切です。
多様性のある働き方を誰かにつくってもらうという受け身な考えではなく、一人ひとりが積極的に働き方の幅を広げていく必要もあります。
理学療法士・作業療法士が様々な価値を提供する社会。一緒にセラピスト業界を盛り上げていきましょう。
町田 ユカリ(まちだ ゆかり)
理学療法士の資格取得後、約13年間臨床現場を経験。自身の出産をきっかけに産後ケアの重要性に気づき、産後ケアを提供するツールとしてヨガを学ぶ。現在は理学療法士・作業療法士がヨガインストラクターである『アンビリカヨガstudio』を運営。ヨガ養成講座や全国での拠点活動などをおこなうなかで
全国の仲間と協力し多くの方が健康で過ごせる社会を目指す。