セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。
病院勤務から法人化して家づくりに携わるまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか。
ヨシローさんのFilmを覗いてみましょう。
目次
ヨシローさんが作業療法士を目指したきっかけを教えてください!
小学生の頃に骨折して入院した経験が大きなきっかけです!
作業療法士になろうと思ったのは、小学5年生の頃に自転車事故で左腕を骨折し、長期間のリハビリ生活を送ることになったことです。
その当時お世話になったリハビリの先生が優しく対応してくれて、その温かさに感動しました。これを機に、医療従事者としてけがなどで困っている方々を助けたいと思うようになりました。
さらにリハビリを通じて、自分の身体の構造や機能に興味を持ち始め、医療の道を志すことにしたんです。
作業療法士という道を選んだのは、自分が作業療法を体験してリハビリの効果を実感していたからです。
臨床でのヨシローさんの経験や感想を教えてください!
患者さまの状態と自分の限界を痛感しましたね!
臨床での経験は、約11年です。
最初の1年目はリハビリ病院で働き、おもに高齢者のリハビリを担当しました。初めての臨床現場で感じたことは、患者さまが入院中に命を落とすケースが想像以上に多かったことです。
状態が思わしくない患者さまや急変する患者さまが多く、自分が思っている以上に後遺症が残る場合もありました。
そのような経験を通じて、自分の無力さを痛感することが多々ありましたよ。特に、1年目に担当した患者さまが亡くなったときは、医療従事者としての限界を強く感じました。
患者さまを助けたいという想いが強かっただけに、命を救えなかった現実に直面するのはつらかったですね。
その経験が、医療の現場で自分たちにできる限界を逆に教えてくれたと思っています。
ヨシローさんが住宅業界に転身しようと思った理由を教えてください!
家屋調査や住宅改修の重要性に気づいたんです!
リハビリ病院での勤務を通じて、住宅環境が患者さまの回復に大きく影響することに気づきました。
特に、退院後の生活環境が整っていないのが理由で、家に帰れない患者さまが多いことに衝撃を受けたんです。
家屋調査や住宅改修の重要性を痛感し、住環境を改善することが患者さまのQOL向上につながると考えるようになりました。
さらに自分が結婚して、実際に家を建てた経験も後押しになりましたね。家を建てる過程で省エネや耐震性、インテリアなど多くの要素を考慮しなければならないことを実感したんです。
一般的な立場からも住環境の重要性を理解し、これが住宅業界に転身する大きなきっかけとなりました。
ヨシローさんがおこなっている住宅業界での活動内容を教えてください!
住宅会社や工務店の顧問として活動しています!
2021年に独立して、2022年には『株式会社HAPROT』を設立しました。現在は住宅会社や工務店の顧問として、安全で住みやすい家づくりをサポートしています。
具体的には、住宅設計の基準を作成し、それに基づいた安全な家づくりを推進しています。
また講演会や研修会を通じて、住宅業界における作業療法士の重要性や多くの方に安全な住環境の大切さを広めています。
顧問としての活動は、住宅改修や家屋調査のアドバイスをおこない、住環境を改善するための具体的な提案をしているんです。
現在は、23社と顧問契約を結ばせていただいており、講演会も広島県や横浜市、東京医科歯科大学、広島大学、無印良品、YKK AP、LIXILなど多数ご依頼いただいております。
たとえば、住宅内事故を予防する設計の導入や高齢者が安心して暮らせる家づくりのサポートなどですね。それによって、多くの方が安心して住める環境を提供できるよう日々活動しています。
2023年には、ご縁もあって『作業療法士が伝えたいケガをしない家づくり』を出版させていただきました。
ヨシローさんのSNSを活用した広報活動について教えてください!
InstagramやXでの発信を積極的におこなっています!
SNSを活用して、広報活動を積極的におこなっています。
InstagramやX、YouTubeなどのプラットフォームを駆使し、住宅改修や作業療法の重要性を発信しているんです。SNSごとにターゲットを変えて、医療関係者や建築業界の専門家に向けた情報を提供しています。
たとえば、Xでは医療関係者向けの内容を、Facebookでは建築業界向けの情報を発信しています。それにより、それぞれの業界に特化した情報を効果的に伝えることができています。
またYouTubeでは、リハビリ視点の家づくりの方法に関する具体的な事例を動画で紹介し、多くの方に分かりやすく伝えています。
ヨシローさんの今後の活動の展望を教えてください!
作業療法士と住宅業界の架け橋になりたいです!
今後は、作業療法士と住宅業界の架け橋となる活動を推進していきたいと考えています。
具体的には、安全持続性の基準を広め、医療と建築の連携を深めることを目指しています。それによって、より多くの方が安心して住める家を提供できるようにしたいです。
また顧問契約を増やし、より多くの住宅会社と協力して、安全で住みやすい住環境を提供するための活動を続けていきます。
さらに、新たなプロジェクトや事業を展開し、住宅業界における作業療法士の役割を広げていきたいです。
家の中の環境が、けがや事故の予防に大きく関与していることを広めることで、多くの方の生活の質を向上させたいです。
健康を守るには、住環境の整備が不可欠です。これを多くの方に理解してもらうために、今後も情報発信を続けていきます。
具体的には、住宅改修の重要性や安全持続性能設計の必要性を啓発し、多くの方が安全に暮らせる住環境を提供するための取り組みです。
また、住宅業界と医療業界の連携を深めることで、より多くの方が健康で安心な生活を送れるようサポートしていきます。それが、社会全体のQOL向上につながると信じています。
THERA-FILを通して伝えたいことはありますか?
臨床経験は非常に重要だと伝えたいです!
学生や若い作業療法士に、臨床経験は重要だと伝えたいです。
臨床の現場で学ぶことは非常に多く、それが自分の成長とキャリアの基盤となります。現場での経験を通じて感じた課題や問題点に対して、積極的に向き合い解決する姿勢が大切です。
たとえば、私自身が感じた住環境の問題を解決するために住宅業界に転身したように、臨床経験から得た知識やスキルを生かして、新しい道を切り開いてほしいと思います。
臨床での時間を大切にし、目の前の患者さまに真摯に向き合うことが、最終的には自身の成長と大きな飛躍につながるはずです。
そして課題を見つけたら、それを解決するための方法を模索し、新たなチャレンジを恐れずに取り組んでください。
解決するための新しいアプローチを見つけ出すことで、医療と社会全体に貢献することができます。
ヨシロー
作業療法士の資格取得後、リハビリ病院、総合病院に勤務。約11年の臨床経験後、2021年に独立し、安全持続性能を提唱。2022年に『株式会社HAPROT』を設立し、現在は住宅会社や工務店の顧問として、安全で住みやすい家づくりをサポートしている。2023年には『作業療法士が伝えたいケガをしない家づくり』を出版。(学芸出版社)