【小林 良 / 作業療法士】「できた!」を通して、親子が笑顔になるセラピーを提供したい!

【小林 良 / 作業療法士】笑顔で達成感を感じるリハビリを提供したい!

小林 良(こばやし りょう)

作業療法士の資格取得後、現在は『発達支援室わお』を開業。小児中心の発達支援リハビリや地域での勉強会など幅広くおこなっている。総合病院での勤務も継続しており、ダブルワークにて精力的に活動中。

THERA-FIL

セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。

THERA-FILって何のメディア?
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作業療法士の資格取得から総合病院勤務と『発達支援室わお』のダブルワークに至るまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか。

小林さんFilmを覗いてみましょう。

作業療法士を目指したきっかけを教えてください!

小林 良

バスケットボールでけがをしたことで、同じような方をサポートする仕事をしたいと思ったからです!

学生時代は、バスケットボールに打ち込んでいました。部活中にけがをして、それによって十分なパフォーマンスを出せないことや、今まで当たり前に送れていた日常生活が楽に送れないことが、非常に大きなストレスでした。

また、祖母が高齢でできないことが増えてきて、できないことをできるようにサポートする仕事がしたいと思ったこともきっかけです。

高校1年生の職業調査のときに初めて作業療法士の仕事を知り、将来自分がやりたいことかも!と思いました。

有り難いことに、高校が作業療法学科のある大学から近かったので、先輩と一緒にオープンキャンパスに参加しました。高校2年生のときには作業療法学科のある大学に進学したいという気持ちがより確実なものになっていました。

作業療法士として臨床に出てみてどうでしたか?

小林 良

人と接する仕事は、自分に合っているなと感じました!

大学の臨床実習先で、小児の作業療法をはじめて見たんです。発達障害のあるお子さまと接して、難しいながらもやりがいのある仕事で、縁を感じてそのまま実習先の総合病院に就職をしました。

小児分野にやりがいを感じながらも、高齢者や疾患に対するリハビリなど、成人分野にも興味があったんです。

幅広い症例を経験できる急性期の総合病院に勤務したのですが、今では良い選択だったと思っています。

入職してからは、一日7~8人ほど高齢者中心の成人リハビリを担当し、外来小児患者を一日1人担当するという勤務でした。

働いてみて気付いたのは、身体障害分野と小児分野は、どちらも大きく関係し合うということでした。身体障害分野の知識や技術を学べていることも、現在の小児のセラピーに活用できていると感じています。

発達支援事業を始めたきっかけを教えてください!

小林 良

地域に出る活動が好きでやりがいを感じたからです!

私の勤務している病院は、小児リハステーションという地域の保育士の方や小児セラピスト向けに勉強会を企画していたんです。ほかにも発達障害に悩む保護者の方が交流できる場を提供するという活動をおこなっていました。

経験を積む中で保育者向けの勉強会を任されたり、特別支援学校の訪問をしたりするなかで、病院での療育だけではなく、地域活動に参入してお子さまと密に接していきたいと感じるようになったんです。

小林 良 きっかけ

転機は、新型コロナの流行でした。病院の方針で、地域での活動がほとんどできなくなったことに加えて、入院患者を担当していた私は外来の小児患者への介入ができなくなったんです。

子どもに関われない時間は、非常にストレスでした。自分の支援を必要としてくれている方がいるんじゃないか、と考えるようになりました。

2022年に職場が副業可能になったのもあり、開業届を提出して『発達支援室わお』をつくり、病院での仕事と並行して活動を始めたんです。

発達支援事業について教えてください!

小林 良

自宅での個別セラピー、市町村の発達支援事業、園や学校への訪問の3本柱でおこなっています!

現在の活動の柱は3本あり、一番大きな柱は自宅事業所のプレイルームにて、小児の個別セラピーです。

病院で発達の遅れがある子にアプローチできるのは、就学前までなんです。就学後は、小学校や放課後等デイサービスに移行してしまい、専門家による個別の支援が急に途切れてしまいます。

小林 良 活動

それに対して、保護者の方からは継続した支援を希望する声をたくさんいただいていましたし、私自身も違和感を抱いていました。

地域に病院や療育センターがなく専門家の支援が受けられないお子さまや、病院に通うことには抵抗があるお子さまにも、1対1で密に担当したいという想いがあり、自宅にて個別セッションを始めました。

2つ目の柱は、市町村の発達支援事業です。保健センターの定期健診で発達が気になるお子さまに対して、保健師さんと一緒に支援にあたっています。

3つ目の柱は、園や学校への訪問です。保育園に巡回相談したり、保育士の方向けの勉強会をおこなったりしています。要望があれば小学校へも訪問します。

お子さまの普段の様子を見学し、保護者の方や先生方へのフィードバックを通して、お子さまが園や学校で過ごしやすくするサポートもおこなっているんです。

開業してからは土日も休みが少なく多忙ですが、非常にやりがいを感じており、充実した日々を過ごしています。

発達支援事業に込められた想いを教えてください!

小林 良

楽しいことや楽しい遊びがあることを知るきっかけをつくるお手伝いがしたいです!

特性により感じ方や思考の仕方、動作の仕方などはお子さまそれぞれ違います。各々に適した方法を都度評価しながら選択しています。

うまく背中を押してあげられるよう、そしてお子さまが嬉しそうな顔で達成感を感じられるよう意識して活動しているんです。

子どもは大人以上に素直なので、反応や変化がおもしろいと感じています。

小林 良 想い

発達障害は、低年齢の場合は子ども自身が困っていることが少ないんです。保護者の方の困り感を通して、お子さまがより楽しく生活できるように支援を提供しています。

作業療法士になってから、約200名のお子さまと接してきました。基本的に、2~3歳で療育がスタートしますが、修学直前の5歳ごろからスタートをする子たちもいます。

月に1、2回とはいえ、長い子だと3~4年の期間の成長を見守れます。

セラピーを終了するときは寂しい気持ちもありますが、作業療法を受けるよりも「友達と遊びたい。」となったほうが良いと思っているので、『頑張ってね』という感じで送り出しています。

今後の展望について教えてください!

小林 良

今は自分の生活とやりたいことのバランスがちょうど良いので継続の意思が強いです!

現在は自分のやりたいことと、自分の生活のバランスがとれているので、このまま継続してダブルワークで活動したいと考えています。

はじめは起業してどんどん自分の事業を大きくし、本業の病院勤務を減らしてパートにしていこうと考えていました。しかし、病院を離れて働いたからこそ病院の診療報酬内でできることの良さも実感したんです。

医師・PT・STといった他職種との連携、珍しい症例に携われるのは、個人事業主だけでは経験できない自分自身が成長できる場と感じました。

単純に、病院での仕事も好きなんです。

勤務している病院では循環器系と腎臓系を担当しており、腎臓リハビリテーション指導士の資格も取得しています。

せっかく取得した腎臓専門の資格なので、病院を辞めたとしても知識を人に伝えられる仕事もしたいと考えています。

THERA-FILを通して伝えたいことはありますか?

小林 良

可能性を狭めず、どんどんチャレンジして経験してほしいです!

私は高校2年生で作業療法士の道を選び、たまたま自分に合っていると感じています。

しかし、すべての方が最初に選んだ道が合っているとは限らないんです。性に合わなかったり、思っていた印象と異なったりすることも大いにあると思います。

もし小児に興味があり、その道を選んで病院に就職したとしても、合わないと感じることもあるでしょう。それはそれで良いんです。

大学生のときにすべてを決めず、年齢を重ねてやっと気がつくこともあります。可能性を狭めず、どんどんチャレンジして経験したうえで今やりたい仕事を選んでほしいなと思っています。

現状がすべてではなく、もっと向いてることが、もっと好きなことがあるかもと思いながら働いてほしいです。

ちょっと違う世界に足を踏み出したほうが良いこともあるので、退職ではなくダブルワークも一つの選択肢だと知っていてほしいです。

 

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