セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。
言語聴覚士からオンラインでの活動に至るにどのようなストーリーがあったのでしょうか。
石﨑さんのFilmを覗いてみましょう。
目次
石﨑さんが言語聴覚士の資格を取得したきっかけを教えてください!
両親に勧められたのがきっかけです!
私の両親が作業療法士だったので、もともと医療や福祉の業界には興味があり、私自身は音楽療法士を目指していたんです。
ただ高校3年生の春ぐらいに、就職まで考えたときに資格を生かして就職することがなかなか難しいと知りました。当時は進路変更としてはぎりぎりのタイミングでしたが、改めて考え直しました。
3〜4年学校に通って人生のなかの時間を使うんだったら、もっとその時間に見合う結果が得られる進路を選ぼうと思ったんです。
そこで別の道を模索し始めたときに、両親から言語聴覚士を紹介されました。紹介されたときは、音楽と言葉は心を通わせるという点で共通する部分があると思いました。
その当時は、そんなに言語聴覚士という職業について理解があったわけではなかったのですが、家の近くに養成校があったこと、高校側から推薦を書いていただけるということもあり、受験に踏み切ったんです。
推薦での受験は、面接と論文だったので幸いにも合格でき、言語聴覚士の道に進みました。
実際に言語聴覚士として社会に出てみてどうでしたか?
患者さまの成長の過程に寄り添える楽しさを実感しました!
大学時代から、ずっと小児の分野に進みたいと思っていたんです。
実際にお子さまに携わらせていただいたときに、成長の過程に寄り添えることに楽しさを感じましたね。
臨床は8年間ほど勤めていたのですが、就職してから退職するまで関わらせていただいたお子さまも多くいらっしゃいます。
なかでも一番小さいお子さまでも2歳で、それから8年間なので小学生中学年まで関わらせていただいていましたね。
勝手ながら親心が芽生えるくらい長いお付き合いをさせていただき、すごくやりがいを感じました。
石﨑さんが現場で苦労した点などありましたか?
一人ひとり違ったことですね!
どんなお子さまと出会っても、発達段階で同じ症例がないんです。
成人であれば、ある程度モデルケースのようなものやベースがあります。
ただ、発達段階のお子さまは一人ひとり違って、こんなふうにしたら良いというのはあるんですが、細かい部分までみていくとずっと手探り状態になっていました。
すごく勉強しましたよ。研修や勉強会に参加して、実践してうまくいかなかったらまた勉強しての試行錯誤。
自己投資をたくさんしましたね。
私は収入の1/4は自己投資に使うと最初から決めていたんです。そこから逆算して生活費などを考えていました。
石﨑さんが現在の活動を始めるに至った転機はなんですか?
一番は、結婚したことです!
職場を退職したのは、プライベートで結婚という転機があったからです。
ただ結婚しても仕事はずっとしていたかったので、最初は続けていました。妊娠してからも4つの事業所を駆け回っていたんですよ。
その結果、妊娠して流産してしまったんです。
それがきっかけで、やっぱり働き方を変えないとまずいと思い、どうやって自分の身体とのバランスや満足度を維持するのかを考え、少しずつ勤務日数を減らしていきました。
そして2020年に夫の転職が決まり、妊娠も重なって完全に退職しました。
その後2年間は自宅で育児をおこなっていたんですが、医療従事者目線で子どもの発達を直近でみれて楽しかったですよ。
それから娘の発達がゆっくりで、悩んだ時期がありました。3か月健診では引っかかったんですが、結局様子見としか言われずに具体的に何をしたら良いという話を全然してくれなかったり。
そこで、オンライン上でOTの方に相談していて、私自身それがすごく助かったんです。
子どもの言葉への悩みはすごく多いんですが、様子見と言われてその間どう関わったら良いのか分からずに悩んでいる親御さまがけっこういらっしゃって。
そこで、今の時点でもできることはあることを知ってほしいなと思い、STとしてSNSで情報を発信発信を始めました。
また娘の成長を側で見ながら、一人の人間として社会とのつながりをもう一度持ちたいと思ったのも理由の一つです。
石﨑さんが現在おこなっている活動について教えてください!
さまざまな方の個別相談とセミナー活動をおこなっています!
現在はママさんはもちろん、リハ職や保育士、支援者向けに子どもの発達についての個別相談や、月一でセミナー活動をおこなっています。
意外と個別相談のお問い合わせは、リハ職などの専門職が多いんです。一番最初にご相談いただいた方は、言語聴覚士の方でした。
私が勤務していた職場もそうだったんですが、小児の言語聴覚士が少なく、一人職場のところが多いんです。
つまり、相談相手が職場にいない状態で、結果を出さないとほかのリハ職や病院から信頼されないという問題があります。
だからこそこういった個別相談は、言語聴覚士の方にも非常に必要だと思います。
お仕事は、おもにインスタのDMからいただくことが多く、基本的に単発で相談対応をおこなっているのですが、今後は継続的に生活レベルまで寄り添えるよう活動していく予定です。
現在の活動に込められている石﨑さんの想いはありますか?
幸福度を高めたいという想いがあります!
私自身も子育てをおこなっていますが、子どもの幸福度を優先するあまり、自分の幸せを後回しにしている親御さまが多いと思うんです。
そうではなく、自分自身の幸福度を高めてほしいですね。
自分自身のいろいろな幸福度を高めることで、より視野が広がって余裕を持って子どもと向き合えると思っています。
子育て期は、人生において宝物のような期間なんです。
子育ては、大変なことが多く親御さまの負担も大きいです。ただそうではない面もたくさんあります。
親御さま自身の余裕がないからそこに目を向けられない・・・
だからこそ親御さまの幸福度を高めて、より広い視野で子育てと向き合える親御さまを増やしたいと思って活動しています。
あの頃はすごく大変だったけど、すごく幸せだったねと振り返る方は多いと思うんですが、渦中でも「幸せだね」と言い合える期間にできるよう、言語聴覚士目線からサポートしていきたいです。
石﨑さんの活動について今後の展望はありますか?
活動の幅を広げていく予定です!
私の娘が2024年4月から幼稚園に入学したので、より事業の活動時間の確保がしやすくなりました。
これを機に、もっと活動の幅を広げて長期的に寄り添えるサービスにしていきたいと思っています。
単発では伝えきれない部分もあるので、長期講座などのコンテンツを作って、より深い内容までお伝えしていきたいです。
THERA-FILを通して伝えたいことはありますか?
想いを汲めるセラピストになってほしいです!
今の情報社会で、疾患名が一人歩きしていると思うんです。その情報を取り入れた状態で、親御さまからご相談をいただきます。
まずその症状に当てはめていくのではなく、その子の特徴といった部分をみることを大事にしてほしいです。
いわゆる診断名はその子の情報の一つでしかないので、それを中心にみてしまうと、見落とす部分が必ず出てきます。
その子が好きなことはなんだろう。やりたいことはなんだろう。
そういったことから、それを妨げているものは何かという深掘りの仕方をしてほしいですね。
もちろん小さいお子さまの場合、親御さま主体になるとは思いますが、その想いを汲めるセラピストが増えてくれると嬉しいです。
石﨑 澄香(いしざき すみか)
資格取得後、現在はオンラインで子どもの発達についての個別相談対応やセミナー活動をおこなっている。関わる方の幸福度を高めたいという想いで、親御さまや専門職のために日々活動中。