セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。
教員を目指していた大学生が鍼灸師として羽ばたくまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか?
野口さんのFilmを覗いてみましょう。
目次
野口さんが鍼灸師になろうと思ったきっかけを教えてください!
自身の膝のけががきっかけです!
大学に入学したときは、保健体育の教員を目指していたんです。大学で駅伝部に所属しており、朝5時半から12キロ走って、講義終了後におよそ10km〜20km走っていたので、1日に30kmくらいは走っていましたね。箱根駅伝への出場を目指していて、駅伝に大学生活をささげていました。
大学在学中の4年間で、膝(内側の靭帯)の痛みを何度も繰り返していたんです。一度痛みが出てしまうと、3か月休んで治療するというのを繰り返していて、治療院も色んなところに行っていたんですが、完治には至りませんでした。
4年生のときにも膝を痛めてしまい、当時あまり時間が取れないなかで友人に紹介してもらった鍼灸院で治療を受けることになったんです。鍼灸師の鍼治療を1度受けただけで、症状が改善して練習復帰することができたんです。
鍼ってとても効果が出るし面白いなと感動し、次第に身体のことに興味をもっと知りたいと思い始めました。
鍼灸師になってみてどうでしたか?
プロとしての責任と苦労を感じました!
私は、鍼灸専門学校に入学して、初めて東洋医学を知りました。授業の時間割をいただいたときに、東洋医学概論と記載されていたので、これは何だろう。すごい世界に入ったな・・・と思ったことをよく覚えています。
当初は東洋医学を素直に受け入れられませんでしたね。気の流れなどを相手の全体をみることを重視して、身体に触れずに治療をおこなう先生がいることに驚きました。
ただ病名だけを見るのではなく、患者さまのありのままの状態を把握することの大切さが次第に分かってきたので、東洋医学を学んでいて良かったと思いました。
専門学校時代に鍼灸院での実習などはありませんでしたが、入学当初から整骨院でアルバイトをしていたんです。資格を取得する前だったので鍼を打つことはできませんでしたが、整体業務だけをおこない、鍼の打ち方は鍼灸師の施術を見学して学んでいました。
資格取得後はマッサージで施術をおこなうところではなく、鍼を用いた施術ができる東洋医学専門のクリニックで勤務することになったんです。初めて患者さまに鍼治療をおこなうとき、プロとしての責任を責任を強く感じました。それまでおこなっていた整体よりも何倍も緊張し、感覚が全く違いましたね。
野口さんが独立するまでの経緯を教えてください!
母の存在が大きかったです!
鍼灸師の風潮として、鍼治療をおこないたいのであれば自分で開業するというものがあるんです。
そのような風潮があることは知っていたので、私もいつかは開業するんだろうなと漠然と考えていました。
開業する一番のきっかけとなったのは、母親の存在です。実家に帰ったときに母が足を引きずりながら歩いており、階段を普通に上ることができずに四つん這いで上っていました。
子どもの頃からずっと元気に動き回ってる母のイメージがあったので、私がいない間に母の身体がここまでボロボロになっていたことがショックでしたね。母が歩けなくなるのは嫌だと。なんとかしてあげたいなと思いました。
当時は一週間のうちクリニックで週4日勤め、残りの3日は自分でレンタルスペースを借りて副業で施術を始めていたので、毎日働いていたんです。
親をいつでも見れる環境を整えなきゃまずいと思い、実家の近くで開業するために独立しました。
野口さんの現在の活動について教えてください!
『たすき鍼灸治療院』を開業し、院の運営に取り組んでいます!
2022年から副業を始めて半年程経ったときに、自身で施術を始めたは良いけどできることが少ないなあと感じました。集客やマーケティングなどビジネスに関することを何も知らなかったので、このままだと事業が伸びていかないなと危機感を感じましたね。
そのとき工藤さんのことを偶然知り、コンサルを受けることになったんです。
工藤さんにコンサルを受ける前は、恥ずかしながらコンセプトもなく、治したいという想いだけを前面に押し出していたんです。
現在は長く寄り添いたいという想いが強いため、体質改善をおこなうことで生きがいのある人生を送れるようにサポートをする治療院というコンセプトとしています。
基本的に鍼灸院は鍼灸だけやるところが多いんですが、私の院は鍼灸と整体の両方をおこなっています。
鍼灸が血流促進と免疫力を上げるために有効なので、身体の内面を改善させるために鍼治療を用いて、運動療法やエクササイズなどの整体で動作を整えています。
患者さまには身体の内面と外面から変えていくことで、疲れにくく痛みや身体の不調が出にくい身体を創っていけるとお伝えしています。
私の治療院では、施術をただ受けるだけの受動的なものというよりも、一緒に身体を変えていく能動的な施術を意識しておこなっています。
現在の活動に込められた野口さんの想いを教えてください!
多くの方に楽しい人生を送ってほしいです!
鍼灸師を目指したのは私自身のけががきっかけですが、膝の痛みを繰り返したのも身体の使い方が悪かったんだろうなと思います。身体の使い方を変えるための治療をおこなっていれば、何度もけがをせずに済んだなという後悔があるんです。
整体や運動を組み合わせることで身体の正しい使い方を理解し、痛みがない状態を保つことができれば、施術を受けた方にとって楽しい人生を送れると思います。
私は、現在の活動を通してそんな方で溢れる社会を創りたいです。
私が就職活動をしたときは鍼治療ができる治療院が少なく、とても苦労しました。現在おこなっている治療院を全国的に拡大することで、鍼灸師が自身の希望した環境で就職できるようになる。鍼灸を生かせる環境を創っていきたいんです。
活動を通して伝えたいことを教えてください!
今、みなさんが取り組んでいることを諦めないで欲しいと思います。鍼灸師のなかには、免許を取って鍼治療をおこなうことなく辞めてしまう方が多いんです。
1クラス40人で3年間専門学校で勉強しても、免許を取得して満足してしまう方が一定数います。さらに5年後に残っている鍼灸師は2.3人と言われるくらい辞めてしまう方が多いんですよ。
東洋医学は、医療系のなかでも歴史ある素晴らしい分野ですし、患者さまの身体と心をみることができる素敵な分野だと思います。
東洋医学を含め、鍼灸師になるために3年間学んだ専門的な知識があるので自信を持って続けてほしいですし、途中で諦めて辞めてしまうのはとてももったいないです。
独立を通して、治療を必要としている方のために活動し続ければ、それが少しずつ実を結んでいくことを経験することができました。
諦めずに自身が持ってる強みを生かして継続してください。
野口 武雄(のぐち たけお)
保健体育の教師を目指していたものの、自身のけがをきっかけに
鍼灸師の資格を取得。クリニックで勤務する傍ら訪問整体を個人でおこなう。
2022年に独立し、『たすき鍼灸治療院』を開院。楽しく人生を送れる方を
増やしたいという想いから、知識と技術を武器に多くのお客さまのために活動中。