セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。
病院勤務をしながらSNSの発信をおこなうまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか。
サギョウ先生さんのFilmを覗いてみましょう。
目次
サギョウ先生が作業療法士になろうと思ったきっかけを教えてください!
母に「作業療法士に向いてるんじゃない?」と言われたことがきっかけです!
母が看護師をしており、「あんた作業療法士に向いてるんじゃない?」って言われたんです。
母から作業療法士の話を聞くまでは、保育士になろうと思っていたんですが、それから作業療法士の仕事に興味が出て、調べているうちに私が将来やりたかったことがすべてできる仕事だと気づきました。
やりたかった仕事というのは、大工さんのような職人と言われる仕事です。私は、元々物をつくることが好きで、作業療法士も物をつくる作業があると聞いたので、やりたい仕事ができるなと思いました。
ほかにも音楽や人とコミュニケーションをとることが好きで、それにまつわる仕事ができればと思っていたんです。
作業療法士は、私のやりたいことを全部できるような仕事だったので、作業療法士を目指すようになりました。
今振り返ると、母が理学療法士ではなく作業療法士を教えてくれたのも、私の性格を理解して話してくれたからだと思います。
実際に作業療法士として働いてみての感想を教えてください!
作業療法士の魅力を再確認しました!
作業療法士として働き始めてからは、医学の分野に興味が湧きました。私が現在発信している脳のことなど、医学的な分野の内容を知ることのほうが楽しくなったんです。
医学の分野を勉強することで、作業療法士の良いところをほかの観点から見つけることができ、より一層作業療法士の仕事が好きになりました。医療に携われている感覚が一層強くなったんだと思います。
医学的な知識も踏まえながら、作業療法士としてのアクティビティも提供できるオールラウンダーのような存在になれることが、作業療法士の役割の一番の魅力だと感じています。
しかし、臨床1年目はそのように感じることはできず、四苦八苦した時期もありました。患者さまに「俺がなんでそんなことをしないといけないんだ」と言われたこともあるんです。
正直、1年目は何をやればいいか分かりませんでしたね。
その経験があり、患者さまのニーズに答えないといけないことに気づきました。それから勉強を始めて、だんだんと仕事を楽しく感じられるようになったんです。
サギョウ先生がSNSでの発信に至るまでの経緯や内容を教えてください!
外部講師の依頼をきっかけに発信に興味を持つようになりました!
臨床3年目のときに、母校から外部講師の依頼をいただきました。ちょうどコロナ渦のタイミングで学校の先生たちが思うような授業の進行が難しくなっていたところ、オンライン上でいいからやってほしいと打診されたんです。
その経験は、自分のなかで今の活動につながる一つのポイントになったと思っています。実習ができなくなった分、臨床の様子を印象深く伝えてほしいと言われたので、当時の自分の働いている様子を事細かに伝えました。
当時の学生も先生方も本当に大変だったと思います。それをきっかけに、4年間継続して外部講師を担当させていただきました。
それから私に子どもができたので、収入に対して意識が強くなったんです。自分がどうかしないといけないと思うようになり、仕事に対してスイッチが入りました。
まずは発信がどういうものかを知りたかったので、手あたり次第に本やYouTubeから情報を得て、ブログが一番始めやすいことが分かりました。
最初は趣味のギターに関する記事を執筆しており、ある程度形ができたのでリハビリの発信に切り替えました。そのあとYouTube、Instagramの発信を始めました。
サギョウ先生の現在の具体的な事業内容を教えてください!
臨床現場に立ちながらSNSの発信とセミナーの講師を担当しています!
Instagramでの発信は基本的に私一人でおこなっております。結成した『Re:Gakusya』としては、後輩2名と私を含めて3名でおこなっています。
元々、認定理学療法士の友人からアドバイスをいただきながら、『リ学舎』として一人でブログやYouTube、Instagramでの発信をおこなっていました。
ただ、徐々に後輩にイラスト作成など一部仕事の依頼をおこなうようになりました。複数名巻き込んで活動できたほうが良いなと思っていたこともあり、仲が良かった後輩も誘い、『Re:Gakusya』を結成して3人体制になったんです。
教えるということはすごく楽しかったんですが、見やすいように制作することやyoutubeだと編集時間が長くなるので、流れができるまでは続けることが大変でした。
臨床も発信も同時におこなっていると大変だと思うことはありますが、それ自体は楽しいです。発信することが自分の勉強にもなるので、それが臨床に生かせる楽しさもあります。
知らなかったことに気づけると良い意味で焦りも出てくるので、自分の知識を深くしていくためには大切な過程です。
実際に、臨床で教科書どおりにリハビリできる方って少ないと思うんです。発信で身につけた知識を実際の現場で実践し、評価と治療を繰り返すことができることは臨床に深みが出せると実感しています。
サギョウ先生の活動に対する想いや今後の展望を教えてください!
いずれは教育の分野に携わりたいです!
活動を通じて人のためにも、自分のためにも貢献したいと思って活動しています。子供に胸を張って働くことの良さを伝えたい気持ちが第一にあるので、好きなことを仕事にできている姿を見てもらいたいです。
いずれは作業療法士の仕事を趣味にして、発信をメインに切り替えたいと考えています。
作業療法の学問自体が、まだまだ曖昧な分野に思われがちだと思うんです。しかし、作業療法士も医療従事者の一員で、医学的な根拠に基づいて介入すれば着地点まで紐づけられることを、新人の作業療法士の方や学生には知ってもらえると嬉しいです。
その流れを、一度経験できるとセラビストとしての成長に大きくつながります。私はこれをエビデンスや医学的知識に基づいて経験できたので、今度は私のその経験をほかのセラピストへ伝えていきたいと思っています。
最終的には、患者さまが幸せな未来が送れることを忘れずにサポートできる方が増えれば良いですね。それを学生時代の早い段階で知っていれば、学生生活の過ごし方も変わってくるのではないでしょうか。
現在は臨床1年目から5年目ぐらいの方を対象に発信していますが、それが落ち着いたら今度は学生の方に向けた発信をしていきたいです。
お仕事させていただいている学校や県士会とのつながりなどで、教育に携わることができればと考えています。
THERA-FILを通して伝えたいことはありますか?
まずは”ヒト”として相手のことを知りましょう!
その人らしさの前に、まず”ヒト”を知ってもらいたいです。
どうしても最終的な行動の部分に注目しがちで、その人がどういう理由でその行動が生まれたのかについての認識が疎かになりやすいんです。
視点を変えていこうというところは学生に常に今言っていますが、行動の原因を知ることが当たり前になってもらいたいなと思います。
まずは、”ヒト”として相手を捉えないといけません。これが理解できていないのにその後の色づけされたものだけ捉えていても、本質的なところへの介入は難しいと思います。
作業療法士として介入する前に、その方をまず一人の”ヒト”として捉えてもらいたいです。
サギョウ先生
作業療法士の資格取得後、脳血管疾患のリハビリをおもに病院で臨床経験を積む。母校で外部講師を担当したことをきっかけに、教育に関心を持ち始める。InstagramやYouTube、ブログで作業療法士にまつわる発信を開始。
現在は臨床現場に立ちながらセミナー講師やSNS発信と多岐に渡り活動中。