セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。
予防医療による健康を提供するに至るまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか?
石川さんのFilmを覗いてみましょう。
目次
石川さんが理学療法士になろうと思ったきっかけを教えてください!
リハビリテーションの可能性を感じたからです!
私が高校生のときのことなんですけど、3つ上の兄がラグビーをしていました。
兄が部活中に部員の1人が意識不明の重体になったんです。
その方が病院でのリハビリを通して、歩くのもままならない状態から、ある程度身の回りのことができるようになるまで回復した話を聞きました。
このとき初めてリハビリというものを知りました。
病気やけがが理由でできなくなってしまったことが、リハビリを通してまたできるようになったら、私自身も日々感動できるしいいな。そこに一緒に携わりたいなと思い、理学療法士を目指しました。
医療の現場はどうでしたか?
やりがいと重要性を感じましたね!
理学療法士の資格取得後は、急性期や療養、在宅なども備えた総合病院に就職し、その後は、整形疾患が多い2次救急病院、3次救急病院と、育休も含めてトータルで18年間勤めました。
理学療法士になった当初は、疾患や症状に対する知識も乏しく、正直手探りだったんです。
ですが、私のリハビリを通して、立つのですら難しかった患者さまがだんだん歩けるようになって、その瞬間理学療法士という職業にすごくやりがいを感じました。
総合病院時代に、患者さまのご自宅へ訪問に行っていたんですけど、患者さまのなかには、リハビリが大事なのは分かっているけどあんまり乗り気じゃない方もいらっしゃったんです。
リハビリ意欲がない方の心のケアに携わりながら、少しでもリハビリを楽しめるように工夫できるといいなと思い、どうすればリハビリ意欲を持ってもらえるかを必死で考えましたね。
また、運動機能の改善に加えて、患者さまやご家族に対して、自分が携わることで少しでもメンタル面で前向きになり笑顔が増えました。
心からやりがいがあって楽しいと思えたので、さらに力を入れていきたいなと思いましたね。
三次救急病院での急性期リハビリに勤務していた時期に、もう少しリハビリすればさらに改善するというタイミングで転院や退院になる方が多く、患者さまの間での入れ替わりが激しかったんです。
正直、出会いと別れに疲れてしまうこともありました。急性期の重要性は理解していましたが、同時に、私がやりたかったのは本当にこれなのかと疑問を抱き始めたのがこの時期でしたね。
石川さんが現在の活動を始めたきっかけは何ですか?
いくつかきっかけはありますが、一番は予防の重要性を強く感じたことです!
病院勤務をしていたときに、ガンの患者さまを担当して若いから大丈夫だということはないと感じました。
病気になって初めて今までの生活の仕方を後悔している患者さまをたくさん見てきて、自分自身の人生についてちゃんと考えるようになったんです。
これまでは自分がリハビリをすることで、患者さまの機能回復をサポートすることにやりがいを感じていたんですけど、振り返るうちにだんだん予防医療に気持ちが向いていったんです。
病気や身体の不調が起こったとき、運動機能のベースが高い方と運動不足などで運動機能が落ちている方では、リハビリの進み具合や退院までの期間なども違います。
だからこそ、病気やけがを経験する前に、運動機能を含めた身体の状態を底上げする必要があると感じました。
私たち医療従事者は、病院内で働く場合、身体に不調が起こった患者さまと関わりますが、その前にできることがたくさんあります。
身体の不調を改善するために外来でリハビリに通いたいけど、主治医からは「できるだけ自分で身体のケアをやってね」というふうに言われる方も多かったんです。
しかし、実際には運動の重要性ややり方を知っていても、それを実行できる方ばかりではないと思います。
そういった、1人ではできない方のサポートをすることで、予防運動の習慣化に携われたらいいなと思ったんです。
また、プライベート面でも理由があって、当時勤めていた病院が少し遠いところにあったので、通勤時間が高速道路を使っても往復3時間かかっていたんですよ。
子どもの保育園や学校の送り迎えもあり、時短勤務でも帰宅するのが18時以降だったんです。
国立病院機構に勤務していたので、公務員と同じくらい福利厚生が良く、最初は自分が踏ん張ればいいという想いがありました。
しかし、今のままの生活をしていると私の身体と心が壊れそうだなという不安が徐々に強くなり、家族との時間をもっと充実させたいとも考えるようになったんです。
患者さまに携わるなかで、自分のことを後回しにして後悔している方をたくさん見てきて、私自身もこの生活の延長線上には、同じ未来が来るなと思いました。
そこで、自分や家族との時間を大切にして、後悔しない人生を送りたいと思ったのも、病院をやめて自身で事業を始めたきっかけの一つです。
石川さんの現在の活動について教えてください!
オンラインを中心にセルフケアを伝えています!
病院を退職後、『初心者向け継続応援整体サロン きずな』を設立しました。
オンラインで健康や姿勢などの身体に対する悩みを聞きながら、自身でできる簡単な運動やセルフケアの指導をおこなっています。
お伝えした内容を自身でやってもらいつつ、改善の経過を追っています。
実は、本当は訪問をやりたいなと思っていたんです。
ですが、コロナの影響もあり、オンラインで活動をスタートしました。
ただ、オンラインならではの難しさもあって。
お客さまご自身で姿勢や可動域などの評価してもらうんですけど、直接目の前で伝えたほうが正確に伝わる部分やオンライン上では伝えることが難しい部分もあります。
お客さまに直接触れて指導したいなと感じるときもあります。
本格的に身体を鍛えたい方はオフラインで指導を受けるほうが良いと思うんです。
ただ私は「運動は大事だよね、分かってる。でも一人じゃできないわ・・・」という方に対して、知識的な指導はもちろん、話をしながら頑張れる雰囲気をつくることはできると思います。
この活動を通して、運動を始める最初のきっかけになり、習慣化することで病気やけがを予防することに繋げることができると考えています。
石川さんの活動への想いを教えてください!
健康で笑顔が絶えない方を増やしたいです!
健康は、何をおこなうにしても土台となる部分だと思います。
それを失ってから気付くのではなく、予防で守れる健康もたくさんあるので、運動や健康に関する知識をさまざまな形で伝えられると思っています。
健康でないとやりたいこともできません。
毎日を健康に過ごし、やりたいことを自由にできて充実している方を増やしたいですし、本人だけではなく、その方の周りの方も笑顔にしたいと考えています。
これからも、健康に生活できて後悔しない人生を歩める方を、どんどん増やしたいです。
石川さんの今後の目標はありますか?
安心できる環境をつくりたいです!
今後は、今おこなっている活動の延長で、オンラインを用いて歩き方の指導もやっていきたいです。
また、誰かと誰かを繋げる環境や安心できる環境をつくりたいと思っています。
もちろんその環境を創るうえで、私が関われる部分があればどんどん関わっていきたいですが、私以外に適している方がいれば、その方にお願いできる。
その逆もまた然りで、セラピスト同士が助け合える、そんな環境を一緒に作っていきたいです。
自分のやりたいことの1つに、50・60代の方でも生き生きできる場所をつくるということがあります。
老人保健施設(老健)やデイサービス(デイ)は、70〜90代の高齢者が多くいらっしゃいます。
それが理由で、50代・60代の若年層の社会復帰が難しい方が、家族の意向で老健やデイに行っても、ポツンと1人で過ごしている方が多いんです。
そのような方が安心して来れるような環境を、私一人ではなくほかの医療従事者と一緒に協力してつくりたい。それが今の私の目標です。
THERA-FILを通して伝えたいことはありますか?
できるかできないかではなくて、やりたいことがあったらやってほしいということを伝えたいです!
医療従事者の方のなかで、健康に対してやりたいことがある方や伝えたい想いがある方は多いのではないかと思っています。
「自分は、これをするのが当たり前、これをすべきなんだろうな」ではなくて、やりたいことや伝えたいことがあったらやればいいんです。
もし、難しくなっても理学療法士として病院に戻ろうと思えば戻れると思います。
何かやりたいことや考えていることがあるなら、いろいろな方の参考にできる部分を取り入れながら、自分が後悔しない道に進んで欲しいです。
病院という環境で患者さまのサポートをしたい方は、全力で患者さまのために尽くしてほしいです。
また、病院以外での働き方をしたい方や自分で何かを変えたい、やりたいことがある方は勇気を出して挑戦してほしいと思います。
どうか、後悔しない人生を送ってください。
石川 理恵(いしかわ りえ)
資格取得後、総合病院や救急病院で勤務。18年臨床に勤めたあと、病院を退職。現在は、オンラインで予防を目的とした運動やセルフケアの指導をおこなう『初心者向け継続応援整体サロン きずな』を設立。予防医療による健康を提供し、後悔しない人生を送って欲しいという想いを胸に活動中。