セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。
言語聴覚士から一般の方向けにオンライン相談対応や指導に至るまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか。
小関さんのFilmを覗いてみましょう。
目次
小関さんが言語聴覚士になろうと思ったきっかけはなんですか?
祖母の入院と私自身がコミュニケーションが苦手だったことがきっかけです!
私が小さい頃祖母が白血病で入院していたり、私自身も中学3年生のころ半年間入院したりして、医療の方と接する機会が多くありました。
そのなかで温かく親身にケアしてくださったという経験があったので、私もそういう道に進み、同じように人と接する仕事がしたいなと思ったのがきっかけですね。
最初は職業として一番分かりやすかった医者を目指したんですが、半年間の入院でのブランクもあり学力がついていかなくて。実は大学入試で三浪してるんです。
また私自身、入院していたその時期はいじめられていて、人との関わり方が苦手で怖くなっていました。
コミュニケーションについていろいろみていると、私みたいに一般の方でもさまざまな理由でコミュニケーションが苦手という方がいらっしゃるのに、病気になった方でコミュニケーションが難しくなった方がいらっしゃるということに気づきました。
それから、同じ国家資格で人とコミュニケーションをとって相手と向き合う言語聴覚士という仕事を見つけ、資格を取得しようと思いました。
小関さんが言語聴覚士について感じたことを教えてください!
目の前の方とみっちり向き合える楽しさをすごく感じました!
看護師や理学療法士など医療従事者ってたくさんいると思うのですが、目の前の患者さまとみっちり向き合える素晴らしい職業だと思います。
24時間のなかの1時間と考えるとすごく短いと思うんですが、その素晴らしさというか楽しさをすごく感じましたね。
一方で、人の身体に携わらせていただく責任とそこからくる不安を強く感じました。
たとえば、患者さまへ嚥下の訓練をする際に知識としては理解していても、本当にむせないかなどすごく不安を感じながらおこなっていました。
自分なんかがリハビリで介入しても大丈夫なのかなと思ったときもあったんです。
ただ勉強したり、経験したりするにつれて自信をつけ、患者さま自身を知るということから介入できるくらいまで余裕が出てきました。
実際に2.3か月で胃瘻から卒業して、経口摂取できるようになった瞬間、一緒にその時間を共有してその方の想いを叶えることができたのかなというやりがいを感じました。
小関さんが現在の活動に至るまでの経緯を教えてください!
体調を崩してしまったのが最初のきっかけです!
正職員として長年として勤めていましたが、その病院のなかで私がやりたいことと、実際にできることの差が激しくなっていき、限界があるなと感じたんです。
しかし、私が関わる方には間違いなく元気になってもらって、明るい人生を歩んでほしいという想いが日に日に増していきました。
さらにプライベートで家事・育児・仕事のバランスをうまく保てず、体調を崩してしまいました。
そのときに、自分のペースでできる方法を模索したところ、オンラインで一般の方向けにも言語聴覚士としての知識を提供できるのではと思ったんです。
それがきっかけで、2022年の12月にその職場を退職し、その翌年の2023年1月からオンラインにて言語訓練を開始しました。
その約1年後の2023年12月に、現在の脳神経外科病院にパートとして勤務をはじめつつ、2024年2月からパートと兼業で個人事業主として開業し、自身の活動を開始しました。
小関さんが長年勤めた病院を退職するとき、不安などはありましたか?
めちゃめちゃありました・・・
長く病院という環境で正職員として働いていたので、やはりすごく不安はありました。
ただどうしても自分の想いは変わらなかったですし、病院内で動いていてもどんどん自分のなかで穴が空いていく感覚があったんです。
このまま続けていても、八方塞がりだったので、勇気を出して退職を決断しました。
小関さんの個人としての活動について詳しく教えてください!
声や表情筋トレーニングについての相談対応や指導、SNS発信をおこなっています!
現在は脳神経外科病院でパートで働きながら、オンラインで発声・構音(滑舌)などの声について、表情筋トレーニングについての相談対応・指導をおこなっています。
オンラインでの相談対応・指導は、おもに一般の方向けに滑舌改善や言語聴覚士視点での表情筋トレーニング、ボイトレ指導をおこなっています。
言語聴覚士で一般の方向けにされている方がほとんどいらっしゃらなく、人としてみて色んな方を見ていきたいと思い、病気の方に加え小さいお子さまからご高齢の方などの一般の方向けに事業を始めようと思いました。
私の活動拠点である北海道室蘭市には個人で活動されている言語聴覚士が非常に少ないんです。そして相談できる場所が非常に少ない・・・病院で「許容範囲ですよ」と言われたお子さまやその親御さまがいく場所がありません。
そこで私がその受け皿になれたらと、地域密着での活動も開始し始めました。
そのほかTikTok、Instagram、YouTube、Threads、X、standFMにて、情報発信をおこなっています。
小関さんの事業への想いや今後の展望を教えてください!
かかりつけの言語聴覚士として、地域への貢献と言語発達や声に関する事業展開をおこなっていきたいです!
事業に対しては、かかりつけの言語聴覚士になりたいという想いがあります。
私の事業名が、『こえとかおのトレーニング モイこえ』で、「モイ」というのはフィンランド語で「こんにちは」という意味です。
「こんにちは」と気軽に挨拶できる関係性を築きたい!そんな身近な言語聴覚士で在りたいと思っています。
どうしても、言語聴覚士自体がまだ認知されていないというのが現状です。私の活動を通して、もっと言語聴覚士のことが認知されると嬉しいですね。
THERA-FILを通して伝えたいことはありますか?
まずは、コミュニケーションを楽しんでほしいです!
これはすべての方に言いたいのですが、いつまでも自分の声や顔に自信を持って、コミュニケーションを楽しんでほしいです。
そしてセラピストや学生さんは、目の前の方の今後の人生まで見据えてみてほしいです!
そして言語聴覚士や学生の方には、どうか目の前の方の人生といった背景までしっかりみてほしいです。
本来リハビリは、その方を知るところから始まると思っています。
セラピストとしてではなく、人として関わることを忘れないようにしてほしいですね。
小関 優美(おぜき ゆみ)
資格取得後、現在は個人事業主として、オンラインで発声や構音(滑舌)、表情筋トレーニングについての相談対応・指導をおこなっている。
そのほかTiktok、Instagram、YouTube、Threads、X、standFMにて、多くの方へ情報をお届けしている。