【高山 健斗 / 理学療法士】「平均寿命ではなく健康寿命を」延ばしていきたい!

【高山 健斗 / 理学療法士】「平均寿命ではなく健康寿命を」延ばしていきたい!

高山 健斗(たかやま けんと)

資格取得後、脳神経外科の急性期に勤務。3年目に副業で出張リハビリを提供。2022年8月に病院を退職し、フリーランスで出張整体を始める。2023年3月に正式に開業届を提出し、現在は、個人事業主として地域に密着した出張整体をおこなっている。

THERA-FIL

セラピスト取材メディア『THERA-FIL』は、平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために、病院以外で本当の健康を届けるために活躍しているセラピスト(Therapist)を1つの記事(Film)として取り上げています。

THERA-FILって何のメディア?
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地域に密着した出張整体セラピストとして活動するに至るまでにどのようなストーリーがあったのでしょうか?

高山さんFilmを覗いてみましょう。

高山さんが理学療法士になろうと思ったきっかけを教えてください!

高山 健斗

母の力になりたいと思ったのと、私自身がけがをしたのがきっかけです!

私が高校生のときに、母が両足とも変形性股関節症という股関節の整形外科疾患になってしまいました。

手術適応となるくらいひどく軟骨がすり減っていて、当然歩くのも痛いというほどでした。

ですが、ちょうどその頃新築の家も建ったので、住宅ローンや学費などを支払うために仕事も大変そうだったんです。

当時その様子を見て、自分が母の力になれたらなと思って、医療関係の職に進もうと決意しました。

医療関係のなかでも理学療法士を選択したのは私自身のけががきっかけで、私は学生時代バスケをやっていて、けがをすることがあり、そのリハビリで理学療法士の方にお世話になりました。

そのときにこういう仕事もあるのかと思ったのを憶えています。

同じ医療関係の代表ともいえる医師だと、もちろん素晴らしい職業でなくてはならない存在ですが、大勢の患者さまを見て診断して処方しての繰り返しになる。

しかし理学療法士の場合は、骨格の知識や徒手の技術、寄り添い方を見てすごく感銘を受け、本格的に理学療法士になろうと決意しました。

それからは必死でしたね。私自身、勉強が得意ではなかったので、勉学というより現場向きな性格をしていました。

知識がないと現場では何もできませんが、いくら知識があっても現場で使えなかったら意味がない。

私は股関節の勉強に一生懸命取り組み、医療学生の頃から母の身体も触らせてもらったり、知り合いの病院の理学療法士の方のもとで勉強をしたりしていました。

ただ学生時代の実習を重ねていくうちに、徐々に整形外科よりも脳神経外科の楽しさを感じ始めたんです。

実習先はいろいろな場所で経験をさせていただきましたが、自分の実習生として担当を持たせていただいたのが、脳神経外科の患者さまでした。

整形外科だと、疾患の原因が割と早い段階で答えが導き出せるという印象がありました。

しかし、脳神経外科はより奥が深い分野でさまざまな視点から多角的に考える必要があるのが、逆に自分に合っていると感じたんです。

脳神経外科で活躍する理学療法士の道に進みながら、母の股関節にも携わっていくと決めて、卒業後は脳神経外科の急性期の病院に就職しました。

実際に理学療法士として臨床に出てみてどうでしたか?

高山 健斗

正直、最初の1年目はめちゃめちゃ不安しかなかったです!

いざ理学療法士として現場に出ると、どう治していけばいいのか不安しかなかったです。

また、急性期だったのでリハビリより内科的治療が先で、点滴治療だったり看護師のケアだったりと、1年目から勉強させられることばかりでした。

理学療法士として、いろいろなリハビリの手技があると思うんです。

しかし、時間による自然治癒もあることを含めると、私のリハビリで改善しているのか患者さま自身の回復力で改善しているのか分からなかったんです。

就職した病院がボバース療法という考え方が主流だったのですが、脳神経外科のリハビリはいろいろな手技があります。

患者さまの改善のために自分で考えて、いろいろな手技を試行錯誤しながら患者さまのリハビリをしていたんです。

すると、2年目で担当させていただいた患者さまから「高山先生のおかげで老後の生活楽しくできそうだよ」と言われたとき、自分が患者さまの身体を治せていると実感が湧いてきました。

言葉を選ばずに言うと、めちゃくちゃうれしかったですね。

それから徐々に自信が付き始め、結果的に脳神経外科の現場には5年4カ月勤めました。

いわゆる中堅の部類に入り、新人教育の指導者として教育を任されることもありました。

そして2022年8月に退職し、フリーランスで出張整体の事業をおこない、2023年の3月に正式に開業届を提出して個人事業主として独立しました。

高山さんが出張整体を始めるまでの経緯を教えてください!

高山 健斗

退院した患者さまのご家族の方から退院後もリハビリをしてほしいと連絡が来たのが最初のきっかけです!

理学療法士として自信と自覚を持ってリハビリをしていた3年目のときに、退院した患者さまのご家族の方から、「退院後もリハビリしてくれないか」という連絡が来たんです。

それについて病院の上席と相談すると、「勉強にもなるから行っておいで」とありがたいお言葉をいただき、実際に患者さまの自宅に訪問してリハビリをすることになりました。

そのリハビリが評判が良く、好評の口コミがどんどん広がっていき、本格的に病院でのリハビリとは別に、自費リハという形で活動するようになったのがはじまりです。

高山健斗 出張整体

また、私が勤めていた病院は急性期病院だったんですけど、途中で回復期病棟ができたんです。

回復期病棟ができてからは回復期に所属になりました。

所属して感じたことは、自宅に返す患者さまの機能だけじゃなくて介護をするご家族の方の負担が大きいことでした。

急性期では感じることができなかったご家族の負担を強く感じました。

そういった方に対して、私のできる限りの力で少しでも患者さまはもちろん、ご家族の方の負担を減らしたいという想いが強くなったのもきっかけの一つだといえますね。

それからある2つの理由から、臨床から離れて個人で活動するようになりました。

1つ目は回復期病棟でリハビリをするとき患者さまは高齢者の割合が多かったことです。

これまでの生活で身体はできており、脳卒中などの脳の病気を発症する手前の段階がすごく大事だと感じました。何よりも病気になる前の段階から予防することが1番大なんだと。

そこから病気になる前の段階で健康な状態をつくりたいと思い、臨床を離れようと思いました。

2つ目の理由は、現実的な話になりますがPTの給料が安かったことです。

生活するだけなら別にそこまで安いという感覚にならないでしょう。

ただ、自身の知識を増やすためにも勉強が必要で、自分でお金を出して行かないといけない。

セミナー代も高いことが多かったので、より知識と技術を求めていた自分にとっては、PTの給料では足りないなと感じたんです。

それから自己投資のためにお金も時間も自由に使いたいという想いが強くなり、個人で活動しようと思いました。

出張整体に込められている高山さんの想いはありますか?

高山 健斗

過去と現在で想いは異なりますが、共通して言えるのは予防の大切さを伝えたいということですね!

個人で活動し始めた当初と現在では、想いが変わりました。

高山健斗 活動に込めている思い

独立した当初は、やはり患者さまが困ったことに対して自分がコミットしていきたいという想いがありましたね。

私自身の活動で目の前の患者さまを救えるように、病気になる前の身体が大事だということ、予防医学が大事だということを伝えたいという想いです。

⚪︎⚪︎が痛いからその痛みに対してアプローチするのではなく、痛みの原因の根本となる生活習慣の改善のために何が必要なのかを、施術のなかで伝えていきたい。

そう思っていました。

ただ現在は、副業でもいいので出張整体をおこなう理学療法士を増やしたいと思っています。

私は長野県に住んでいるんですが、長野県って高齢の方が多いんですよ。

特に私が住んでいる地域は、50歳以上の方が5割近くいる地域なんです。

店舗を持って逆に来ていただくのも悪いわけではないんですが、店舗展開ではなくその地域に密着したいなと。

実際にご自宅を訪問してリハビリや予防の運動をすることで、ご自宅の環境だったり普段の日常動作だったり、そういった深い部分まで入り込んで指導をできます。

そういった理由から、店舗よりも出張型のほうが地域性としては必要だと感じています。

必要だからこそ、現在は私と同じように出張整体の活動をおこなう理学療法士を増やしたいと強く思っています。

高山さんの今後の目標はありますか?

高山 健斗

長野県の健康寿命を延ばしたいです!

現実的な話からすると、まずは地に足をつけて私自身の事業を伸ばすことが目標です。

その先の目標としてあるのが、私の活動がほかの理学療法士にとって道標になることです。

理学療法士の働き方の可能性を見出すきっかけになって、病院以外で活躍する理学療法士を増やしたいと思っています。

高山健斗 今後の目標

そして、長野県だけでなく日本全体に言えることだと思いますが、平均寿命は長いけど健康寿命が短いいう現実を変えることが私の最終目標です。

健康寿命を延ばすために今の活動をより質の高いものにして、組織化していきたいですね。

THERAFILを通して伝えたいことはありますか?

高山 健斗

何か起こってから動き出すのは普通じゃないことを伝えたいです!

日本は病気になってから、けがをしてから治療をします。

そして治療すればいいと思っている。

それは当たり前じゃありません。病気やけがをしてからじゃ遅いんです。

身体に何か起きる前の段階で健康への意識を高く持ってほしいと思います。

そして理学療法士には、そのための病院以外での活躍の場がたくさんあるということも、同時に伝えたいです。

理学療法士の知識量は素晴らしいと思います。

今の時代は特にそうですが、理学療法士1人でも活動次第では、地域だけでなく日本中に影響力のある職業だと思っています。

そういった選ばれた資格を病院以外でも医療関係以外でも活躍できる場はたくさんある。

理学療法士の可能性は無限大です。

私もまだまだこれからではありますが、少しでも多くの方の道標になれるように頑張ります。

一般の方も理学療法士の方も病院という箱にとらわれずに、もっと広い視野を持って生きていきましょう。

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